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幸せは自分で掴むもの
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真剣におかずを吟味している竜ちゃんの横顔をそっと窺い見てみる。


う〜ん・・・やっぱりカッコいいよね・・・。


綺麗に浮き出た顎のラインに、形のいい鼻。その鼻は、竜ちゃん限定で華と書いてもいいくらいに美しすぎる。


目元は当たり前の様にカッコよくて、あの目に見つめられたら、男も女もみんなみんな、一発で恋に落ちちゃう。


ほらっ、竜ちゃんにジッと見つめられてるからタコさんウインナーまでまっかっかになってるじゃないか。このタコキラーめっ!


僕は、むぅっと口を尖らすと、タコさんウインナーにまで色目を使っている節操無しをキッと睨みつけたのだった。


・・・・・


・・・・・


・・・竜ちゃんがモテルのは分かってるよ?


竜ちゃんと親友になるずっと前からその存在を知ってたくらいカッコいいので有名だったからね。


モテルのはいいんだよ?


だけど・・・。





そこまで考えていると、「ほらよ」と竜ちゃんが、僕に半分以上減ってしまったお弁当を手渡してきた。


「ん・・・」


僕が、静かにそれを受け取ると、竜ちゃんは訝しそうに首を傾げていた。


きっと、いつもだったらお弁当をひったくるはずの僕を不審に思ってるんだろう。


はぁ・・・。


ひとつため息を付くと、さっきのタコさんウインナーを箸で挟んだ。


それを見た竜ちゃんも、より分けたお弁当の余りを食べ出す。


はぁ・・・。


もうひとつため息を付いてからタコさんウインナーを一口でぱくりと食べた。


いつもだったらすごく美味しいはずのタコさんウインナーの味が、殆どしない・・・。


けど、竜ちゃんに見つめられて赤くなった罰だと必要以上に噛んでやったのだった。


ごくりと飲み込み、三度(みたび)ため息をつく。


竜ちゃん・・・誰に会いたかったのかな・・・。





「・・・ごちそうさま」


ぼそりと呟くと、箸入れに箸を戻した。


当のお弁当はというと、まだ殆ど食べていない状態。


「佑?」


今までの僕では、決して考えられない事だったんだろう。竜ちゃんが、それはそれはビックリした顔で僕を見てきた。


そして、慌てたように箸を置くと、僕を抱きしめておでこに手を当ててきた。


「どうしたんだ!?佑!お前、熱でもあんのか!?」


「・・・ううん」


「じゃあ、気持ちが悪いのかっ!?お前が弁当を残すなんて、よっぽどキツイに違いねぇっ!!」


「・・・・・」


竜ちゃんのあまりの驚きぶりにちょっと複雑な僕・・・。


なんなの?


僕が、お弁当を残しちゃったのがそんなに珍しいわけ?


むぅっと口を尖らせ、「僕だって食欲がない時くらいあるんだよ・・・」と呟くと、ペットボトルのお茶(竜ちゃん指定)をゴクゴクと飲んだのだった。




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あきゅろす。
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