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幸せは自分で掴むもの
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「けれど、仲間想いで優しい竜二は、他の誰にも囮役をさせず、<弱い僕が囮になるから、残りの四天王たちで一網打尽にしてくれ>と決して譲らなかった。・・・そしていつしか、それが黒薔薇のスタイルとして定着していったんだ・・・。」


「けれど、黒薔薇強く、大きくなっていくのとは反対に、竜二は、どんどんボロボロになっていった・・・。見かねた僕達が、竜二を止めたけれど、止めようとしてはくれなかった・・・。せめて最大の敵であるパピヨンがいなくなるまではとそう言って・・・。パピヨンがいる限り、晶が総長に戻れないって・・・。確かにパピヨンの存在は狙われていた時の記憶を呼び覚まして、僕を怯えさせていたからね。一日も早く総長に戻してあげたいっていう竜二の強い想いが伝わってきたよ。」


「・・・けど、これ以上、大好きな竜二が傷つくのを見ていられなかった僕は・・・<ご苦労さん。最強になった黒薔薇には、お前のような弱い総長はふさわしくないんだよ。もう、どっかに消えてくれないかな?>・・・竜二が傷つくと分かっていながら、俺は竜二に酷いうそをついた。」


「何を言っても、囮になることを止めない竜二に、もう、こう言って総長代行を辞めてもらうことしか思いつかなかった・・・。思惑どおり、竜二は総長を辞めて、黒薔薇を去っていった。誰にも行き先を告げずに・・・。嬉しいはずなのに、これ以上竜二がボロボロになる姿を見なくてすむって嬉しいはずなのに・・・。っく・・・ふぅぅっく・・・僕は・・・あの日から泣いてばかりだ・・・。バカだよね?・・・っく・・・竜二の安全と引き換えに、僕は最愛の人を失ってしまったんだ・・・っく・・・。」


 美伊那ちゃん・・・。


 思わずもらい泣きしそうになっちゃったよ・・・。


 なるほど、竜ちゃんが言ってたのはこれか・・・。


 窓の隙間から聞こえてきたって言ってたよね?


 僕も聞こえてたよ?ちょっと前、窓の隙間からバイク音が止むの。


 だから・・・。


「聞こえてるんでしょ!?竜ちゃんっ!!」





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