†ロイエド*奥の間† 『秘密な花園?』B★R18 「……う…」 「…目が覚めたかい?鋼の」 エドワードは見慣れない天井をうっすらと開いたまぶたの隙間に見ながら聞きなれた声を聞き、ほっと息をついた。 「うん……」 「どこか、気分が悪かったりしないかね?今日一日特に何も変化がなければ、大丈夫だそうだが」 「え?」 ドクターマルコーが、とマスタングは手元の書類をめくりながら片眉を上げてちら、とエドワードを見た。 エドワードは慌てて毛布に潜った。 マスタングが物凄い勢いでドクターマルコーに電話をかけたに違いない。 どんな脅し文句を言ったかもわからない。 自分がこんな目に遭うかもしれないそんな実験に後見人であるマスタングを通さずに請け負わせてしまったのだから。 「大佐…仕事は?」 「ああ、今日はここで仕事をしていていいとね、中尉が許可してくれたんだよ」 目元だけでマスタングを覗き見るエドワードに、マスタングは書類をパサリとベッドに置いて自分もベッドに腰を下ろす。 申し訳なさそうな瞳を見せるエドワードの髪を撫でるマスタングの手に、エドワードは再びまぶたを閉じてその感触に安堵の色を見せる。 「……戻って、良かったよ」 「うん……」 もぞもぞとエドワードがベッドの中で動き、枕を抱えてマスタングの元まで移動すると、マスタングの膝に懐くように頭を乗せた。 「ん…?」 「……大佐の、感触…」 確かめたくて。 この一週間、まったく触れなかったわけではないが、こうやって安心して寄りかかることを躊躇しなければならなかったから、エドワードは何だか身体がうずうずするくらい甘えたい気分が勝手に盛り上がってくる。 マスタングもエドワードの仕草に気分がゆっくり高まっていくのを感じる。 ここはあくまで仮眠室で、しばらくすればホークアイが様子を見に来るに違いないのだが、一週間、エドワードを目の前におあずけをくらっていたのだからどうしたって、お互い知らずに身を寄せてしまう。 「エドワード…」 「……うん…」 枕ごと抱き起こされ、エドワードはちょっと気恥ずかしいように視線をそらしマスタングの膝の上に座らせられ肩にもたれる。 そのままマスタングのさらりとした髪が頬をかすめちろりとエドワードの首筋に生温かい舌の感触が這う。 枕を抱えたままのエドワードをベッドに下ろし、マスタングがエドワードのジャケットのボタンをはずしていく。 エドワードはぎゅ、と枕を抱え、首から顎へとマスタングの舌がゆるく濡らしていくのを神経が尖りそうなほど敏感に感じながら高ぶってくる身体に視界が潤みそうになった。 こんな触れ合いだけで反応してしまいそうに、自分もマスタングも耐えていたのかなんて考えると、マスタングのことだけを万年発情期なんて呼べなくなってしまう。 「……」 「な、なぁっ」 「……」 Tシャツに指を忍び込ませ、唇を寄せた瞬間、エドワードがひっくり返りそうな声でそれを制し、マスタングはぱちくり、と瞬きをした。 「お、お茶……」 「ああ、そうだね」 眠っていて喉が渇いたのは本当で、マスタングの飲んでいるコーヒーでもいいから、何か潤すものが欲しかった。 それはマスタングの腕の中にいることで久しぶりに味わう緊張が引き起こしているのも確かで。 マスタングは上半身だけ起こしたエドワードにカップを渡しながらも身体を離さず指先でエドワードの腹からなだらかな胸の筋肉をたどるようにちくちくと攻め始める。 エドワードがぴくぴくと反応しながらも抵抗はせず困ったようにカップを両手で抱える。 マスタングは完全にその気だし、自分も、それは止められるほど淡白に今の状況を捉えられなかった。 それくらい、マスタングの身体から香りたつのは自分への欲で、もうそれは自分が女だから、とか関係ないのだと知っているからこそ、自ら飲まれてもいいかもとも思うのだ。 マスタングが身体を屈めてエドワードのへそ辺りに舌を張り付かせ、エドワードは飲もうとしたカップの端をぐ、噛んで声を殺す。 「ほら、足を開いておくれ」 「……バカヤロ」 なじられてもマスタングは上目遣いにくすりと笑うだけでエドワードが膝を開くのを待つ。 渋々というふうにでも開かれる膝の間に身体を入れ、へその周りをくすぐるようになめまわし続けながらエドワードのベルトを外していく。 もう、マスタングの視界の下でエドワードの反応は見えていた。 だからエドワードは肌蹴た自分の身体からは視線をそらしカップに口をつけた。 互いの熱を発散させるだけなら、大丈夫かもしれない。 その続きは、…帰ってから。 腰骨をなぞるようにマスタングの舌が流れていく事にエドワードは少し眉を寄せながらカップを傾ける。 「ん……?甘………?……っひぇ…!!」 「エド…!?」 ズボンを脱がそうとしていたマスタングの頭の上で、こく、と一口コーヒーを飲んだエドワードがコーヒーの甘さに眉を寄せたとたん、ばしゃ、とカップを床に放り出した。 「………」 「………」 お互いに見合ったエドワードとマスタングが、数秒後に、あ、と声を上げてカップを見た。 「エドワード……?」 「………ま、まさか…」 エドワードがおそるおそるTシャツとズボンの中に手を差し込んだ。 その仕草に、マスタングは不謹慎だとは思いながらもごく、と喉を鳴らした。 自慰の体勢に近いそれはマスタングの見たことのない、それもおずおずとした感じが可愛らしさを増長させて、マスタングは今の状況がなければ襲い掛かりたい気分満載だった。 しかし、ごそ、と衣服の中で手を動かしたエドワードの顔色がさぁっと変わっていくのを見てマスタングもゆっくり頭を垂れた。 「………また、かい…?」 「……うっ」 砂糖か、それか。 マスタングが最近疲れていたからと珍しく入れていたたったひと欠片のブラウンシュガー。 「…エド…?」 確かめた後、エドワードが固まったままなんとも言いようのない顔で視線を落としていた。 「どうした、ドクターマルコーに連絡を入れないといけないだろう?」 「あ、え、……ま、待って…っ」 「……え」 エドワードは立ち上がろうとするマスタングの腕を慌てたように掴み、赤く染まった顔を上げた。 どき、とマスタングが強い鼓動を感じてその表情に見入った。 まさか。 「……身体が……おか、しい…」 「あ、…ああ、やはり…ドクターマルコーに…」 「待って!!」 エドワードを包む甘い雰囲気に飲まれそうだったマスタングが、我に返って身を翻そうとしてエドワードがぐいっと両手でそれを引き止める。 マスタングはどうにかこの心臓の高鳴りを止めるように、エドワードには気づかれないよう深く呼吸を繰り返していた。 「………」 あの表情は、あれは、エドワードが夜の月明かりに見せる艶めいたそれを含んでいる。 このまま振り返っていいものか、マスタングは眉をひそめて考えた。 ついさっきまで色事を進めようとしていたから、もしかしたらエドワードの体はその高ぶりを残したままなのかもしれない。ひとりで置いていかれるのが不安なのだと、その気持ちを汲めるとしても、自分の気持ちを抑えるのはかなり大変だ。 呼ぶように何度か小さく軍服の袖を引っ張るエドワードに、マスタングは身体をそらしたまま困ったように顔を歪めた。 「大、佐……待って。置いてくなよ」 「しかし…」 この部屋には内線の電話しかない。外線を掛けるには仮眠室から出て執務室に行かなければ。 「な、内線で中尉に…」 マスタングはエドワードの腕を振り払うわけにもいかず、ぎこちなくベッド脇の内線の受話器を取り上げた。 これは作戦室に直通だから、たいていはホークアイがとる。 それでドクターマルコーを軍部まで呼びつけてもらうしかない。 「あ、中尉か。私だ。……目は覚ましたのだが、ちょっと困った事になってしまった。ドクターマルコーに至急私のところへ出頭するよう連絡を取ってくれないか。……ああ、至急だ。すまないが…。……っエ、ド……!?い、いや…大丈夫だ。では…」 がちゃん、と受話器を置いた瞬間、マスタングが脇から抱きついているエドワードの腕を強く掴んだ。 ホークアイと話している間にいつのまにかエドワードが回りこんでいた。 「エド…?」 「……ごめ、何か、変……何か、やだ……」 わき腹に当たるエドワードの左胸の膨らみから、駆け上がるような心音が伝わってくる。 マスタングは対応に困って口をきつく閉じ、それでも多分、一番安心させる方法はきっと、抱きしめてやる事だと思いエドワードをそっと自分の膝に促した。 「……大丈夫だから、落ち着きなさい」 「うん……」 マスタングの膝を跨ぎ、エドワードはその胸に顔を埋めた。 いつもの、マスタングとの事を進める時の身体の高揚感。それに近いのに何か違う。 身体の反応する個所が違う。 「………」 エドワードは浅く息を吐きながらそれを振り払うように頭を何度も振ってマスタングの上着を握り締めた。 身体の中からとろけた感触が足の付け根を這う。 それがむず痒い気がしてエドワードはごそごそと足を動かして気を散らそうとするのに、よけい何だか身体が熱くなるようで、悔しそうに唇を噛み締めた。 「………」 腕の中で自分の体の反応に戸惑って苛立ちを見せるエドワードに、マスタングは頭を占める邪な想像を打ち消そうとかなり必死に、涼しい表情が崩れそうなくらい戦っていた。 耐えねば。 ここは、どうあっても、耐えねば。 築き上げてきた僅かかもしれないエドワードの中の自分の信用がいっぺんに崩れ去ってしまう。 しかしそれにはこのふにふにと当たる柔らかい胸の誘惑から逃れなければ。 どうやったらエドワードを不安がらせずに身体の向きを変えられるのか。 マスタングはせめて膝に横座りでもしてくれないだろうかとタイミングを見計らうが、エドワードはぎゅうとマスタングに張り付いたまま、まったくその力を抜こうとしない。 「…参ったな……」 「………」 イロイロな意味で、今は言っても誤解のない言葉を吐き出しマスタングはエドワードの髪を撫でるが、その手付きも戸惑いが混じって上っ面を滑るような動きになってしまう。 エドワードはマスタングに体をピッタリ寄せているといつもと身体のあたり具合が違う事に気づき、ちょっと、ほんとに他意はなく腰を前にずらした。 「……うぉ…っっ」 「た、大佐…!?だいじょ、…ぶ……え………?」 ぐり、とあらぬ個所を刺激されてマスタングが思い切り身体を前に倒して固まった。 突き飛ばされるかと思ったエドワードは、マスタングが前かがみにベッドに突っ伏したのを見て自分の腿あたりに当たっていた良く知った彼の体の事を思い出して絶句した。 忘れていたが、身体が萎えていないのは自分だけではなかったのだ。 「―――――!!」 マスタングとの事がざざっとエドワードの脳裏を過ぎった瞬間、ぐわ、と腰から下に熱が走ってエドワードが慌てて引っ掴んだ枕を盾にした。 心臓が血液を送り出す一回一回が大きく身体に響き、エドワードはいつものような下肢の張り詰め感とは違う溶けそうな熱さにどうしたらいいのかわからず強く顔を枕に押し付けて唇を噛み締めた。 熱い。 マスタングと身体を重ねる、それを思い出したとたんに流れるような熱が足の付け根と、普段マスタングに抉られるのとは違った個所を襲う。 それがじわじわと腹から胸へと這い上がってくるようで、触れられてもいないのに胸の膨らみがより張るような気がしてエドワードは枕に体を押し付ける。 「エド……ちょ、ちょっと、出ていて、いいかな…」 「え…っや、やだよ!ここ居ろよ」 「や、うむ……」 エドワードの懇願に、マスタングは、はあ、と息を吐いてベッドに崩れた。 とりあえず、この状態をどうにかしてこようと思ったのだが、それは無理なようで、せめて横になって治まるのを待つしかないようだ。 まったく、何故エドワードを前にして、我慢しなければいけないのか。 理不尽だ、と思いながらマスタングはちらとエドワードを見る。 エドワードは枕に赤い頬をつけ、やはり身体の高揚を静めようと困ったように窓を見つめている。 いっそ、発散させるだけなら…。 いや。 そんな事は考えたらいけない。 マスタングはここ一週間つき続けた自分へのため息を改めてついた。 エドワードの柔らかい肌の、そして違った反応が見れるだろう色事の誘惑は強い。 ドクターマルコーが来てどうにかなってしまえば二度と触れることはできない。 それでいいはずなのだが、どうだ、あのエドワードの可愛らしさは。 「…………あほだな、私は」 「は?」 「あ、いや…気にするな」 つい口をついてしまった言葉にエドワードが顔を上げ、マスタングはがっくり頭をベッドに倒してひらひらと手を振った。 「〜〜〜〜〜〜〜」 エドワードはもぞもぞと枕の後ろで膝を動かし下肢の熱を逃がそうとするのに、それが何故か助長させているようで顔をしかめ枕をぼふ、と立ててマスタングから見えないようにしながらそっと肌蹴ていたズボンを軽く広げる。 いつもなら幼いながらに男性らしい起立が見えるはずの場所はぺったんこで、どうもその奥がおかしな感じなのだ。 「………」 シャワーを浴びるときも別段気にしなかった。 トイレも、ホークアイに教えてもらったから個室にちょんと座って済ませていたから何の問題もない。 とにかく、自分が女の身体の間は何故か意識しなかったのに、こんなこと、予想外過ぎる。 エドワードの三つ編みが大きな枕の向こうで揺れて首を傾げているのだと見えると、マスタングはちょっと治まってきた身体に大きく息を吸って落ち着けながらベッドの上を這い寄った。 「エドワード?」 「わわっっ」 「――――ぅわ!!」 いきなり声を掛けられたエドワードが枕を蹴っ飛ばしてしまいマスタングとの間に遮るものがなくなってしまった。 マスタングは再びシャツとズボンを肌蹴させたエドワードの姿が目に飛び込んできて思い切り仰け反った。 「す、すまん!」 マスタングが慌てて枕を戻そうとするが、視界に入るエドワードの丸みのある胸元につんと張った桜色のしこりに知らずにごく、と喉を鳴らす。 エドワードはそのマスタングの頂点まで上がっているだろう欲情に耐えているマスタングの表情に、ずん、と腰が疼いてびくっと跳ねた。 触れられたら、どんな感じが。 「………」 「エド……!?」 思ったのと同時に伸ばした腕でエドワードは床に落ちた枕を拾い上げようとするマスタングの肩を掴みベッドに引っ張り戻していた。 驚いたマスタングがエドワードを引き離そうとする間にもエドワードがガチャガチャとマスタングのベルトを外しシャツを引き出す。 「………」 肩で息をしながらエドワードは呆気に取られているマスタング下着へと指を差し込む。 「んんっ。エドワード…っ待ち…っ」 「待てない。…待てないんだよ、俺の方が…おかしくなりそ…なん、だ…」 ズボンから手を引き抜こうとエドワードの手首を掴むマスタングの空いた片手を、エドワードは一瞬だけ戸惑い、振り切るように自分の胸元に押し付けた。 「…っ」 マスタングの手のひらに収まる膨らみと指で挟んだら壊れそうなくらいの突起。 マスタングは切羽詰ったエドワードの潤みが浮かびそうな瞳に見上げられて言葉を失う。 「………」 そっと、その胸の膨らみを、女性にするように揉みこむとエドワードがひくん、と身体を揺らしマスタングは導火線のない爆弾が暴発するかのような欲に貫かれた。 「エド……っっ」 「あ、大佐……っっ」 たまらずにエドワードの胸に顔を埋めると、エドワードがマスタングの下肢をきゅ、と握って仰け反る。それがまた刺激になってマスタングはざらりとした舌全体を使ってエドワードの小ぶりな胸に吸い付く。 「は…っっあ、こ、ちが…熱い…熱く、て…っあ…っ」 エドワードはマスタングの指をウェストから腰骨を伝わらせてより下へと導く。 「…は…っ。エド……、触っても……?」 「聞く、な……っ」 ずくずくと疼く身体に膝をカクカクと揺らすエドワードの飲まれていく強い情欲が瞳に浮かび、マスタングは身震いがするほど緊張の中でその開かれたズボンからゆっくり指を潜り込ませる。 いつもの愛らしく勃ち上がって愛撫を求めるそれはなく、髪色と同じ金糸を分け入るたびエドワードがマスタングの肩を掴む手に力を込める。 「い、ひあ…!!」 ぬる、とした感触とともに触れた小さな突起にマスタングの心臓が跳ね上がり、エドワードがその電気の走るような刺激に悲鳴を上げた。 マスタング自身、自分の息の上がりがいつもより早くて目の前がくらくらしそうだった。 「うん…っああ!だ、駄目…っ。大佐、やめ…っっ」 「……可愛いな…こんなに濡らして。…止めろなんて酷なことを言わないでおくれ」 「!?んあああっっちょっあ、ああ、んう!」 ぐり、とマスタングが奥まで指を滑り込ませただけでエドワードが倒れそうになりマスタングが片腕でそれを抱きとめた。 「知ってるかい…?こんなに小さな突起がね、…男性器と同じくらい感じるそうだよ…だから」 ここだけでイケるそうだ、と耳元で囁くマスタングの声は聞いたこともないくらい意地の悪い響きを持っていて、エドワードはマスタングのあらぬツボを突付いてしまったのだと悟る。 「や、や、や、や、あぅっっ」 エドワードは上半身を揺らしてマスタングの肩を押し逃げようにも腰が砕けそうでどうにもならない。 溝をなぞる指を増やしマスタングがエドワードにも聞こえるように激しく指を動かせばエドワードはそれを遮るほどの嬌声を上げた。 マスタングの下肢は完全にエドワードの手から離れてしまっていても萎えるどころかエドワードの敏感すぎるほどの反応とここ一週間のお預けに耐えられないくらいに張りきっている。 「ほら、…こうしてしまわないと、おかしくなりそうだったんだろう?気持ち良いかい…エド…」 「は、うぅ…っっ。変、なり、そ…ぉ大佐ぁ…ダ、メぇ…っっあ、あ、ぁああん!!くあ…!!」 ぴったりと指を貼り付け執拗に攻め上げられエドワードがぐぐ、と仰け反って咳き込むように息を吐き切って一瞬頭が真っ白になった。 「………いい声だな…まったく、この身体は女の子でも私に苛められるのが好きらしい」 「…んん…ば、か…やろ…っっな、なに……っっ」 息の整わないエドワードの体を膝から下ろし、マスタングがずるりと下着ごとエドワードのズボンを脱がす。 「シーツを濡らしてしまいそうだな…」 「へ……」 にや、とマスタングが嫌な笑みを浮かべエドワードをベッドにどん、と倒して両足首を掴んだ。 「や、や、待てって!何す…っ」 「いつもしているだろう?」 エドワードがマスタングの行動に青褪めそうになっていると、マスタングがくい、と唇の端を上げた後、顔を引きつらせるエドワードの鼻先で舌を出して見せる。 ひっと、エドワードが短い悲鳴を上げ、指であんな事になったのに絶対に泣くまで許してくれなそうなマスタングの意地悪スイッチの入った口淫なんて、耐えられるはずがない。 自分では全くどうなってるのかわからない下肢は、マスタングにとっては勝手知ったる魅惑の蜜壷だ。 なんだ、そのうっとりした顔。 「大丈夫だよ、…挿れはしないから」 「な………っっ」 何が、何を、と叫びたいエドワードは自分が女の子としてはこれが初めての行為であることに今更気づいた。 「い、挿れたら殺す!!!ぜってーコロス!!!」 「だから、その分可愛がってやると言っているんだ、大人しくしないか」 「いー!らー!ねぇ!!……ひぃあっっ」 かぱっと足を広げられエドワードがぐうの拳を振り上げたとたんにぐん、と仰け反った。 指がなぞっていた個所を、マスタングが舌でべろりと舐める。 「…っや…め…っは、んんんーっっ」 エドワードは抵抗するには襲う快楽の方が強すぎて首をふるばかりでマスタングの思うままに身体を震えさせた。 目の前が熱で浮かされる時のように潤むのはもう息も切れて文句すら出てこないからだ。 口をつくのはマスタングの欲しがる色に濡れた嬌声。 「うあっっ」 舌が襞を押してねじ込まれる感触にエドワードがびりびりっと身体を緊張させて足の指を突っ張る。 「はああっああっ!!」 そのまま突起を指ですれそうなほど揉み込まれてエドワードが足の指までを緊張させガックンと、身体を揺らしベッドに沈ませた。 「まだ指も入れてないが……」 「んん…も、だ、めぇ……」 余韻に引きずられるエドワードの甘ったれるような声にマスタングはくく、と笑みを噛んでエドワードを跨ぐように身体を進めてくる。 薄っすらと目を開け、エドワードはマスタングを見上げると、緩い滴をまとわりつかせるマスタングの反り返った身体が視界に入り無意識にそれに指を這わせた。 満足そうにマスタングがエドワードの頬を撫でた指を唇に当てるとぐい、と口を開かせ自身の身体を咥えこませる。 「んんんっっんぅ…っ」 「…君の可愛い身体を触って声を聞かされて…もう耐えられないよ。せめてこのマシュマロのような唇と舌でイカせておくれ…」 ぐぐ、と幹を押し込みながら、苦しそうに眉を寄せるエドワードにできるだけ甘えた声を出してマスタングが囁く。 エドワードは息を吐いて奥までマスタングを迎え入れてちら、とマスタングを見上げた。 くす、と、エドワードの瞳が笑みを浮かべ、マスタングはエドワードのスイッチも入った事を見て取るとベッドに片手をつきエドワードの柔らかい唇を味わうようにゆっくりと身体を動かし始める。 「…ん、ん…うぅん…っっは、…ん、たい…んんっっっ」 エドワードの両手に指を絡ませてベッドに押さえつけ、マスタングはその表情を見つめた。 緩急をつけて唇を犯せばエドワードが身体を捩る。 「……また、下のお口は欲しくなったかな…?エド…ふ…っん……」 「んん――っっ」 ふざけんなとばかりにエドワードが軽く歯を立てるが、実際それどころではない。 マスタングに占領された口内から溢れる滴が首まで流れ同じくらい下半身が熱い。 「エド…エドワード……」 「ふ、…んぅ…っ」 脈打つマスタングの身体の熱はエドワードを震わせるほど張り詰め、弾けそうに堅さを増していく。 マスタングの口から零れる吐息はエドワードの神経を狂わせそうだ。 無意識にパタ、パタ、とエドワードの足がベッドを打つ事にマスタングが気づく。 マスタングは肩越しにその様子を窺い見て、ふふ、と笑みを深めた。 「んあ…っっ」 ずるりと抜かれていくマスタングの身体に、エドワードが怪訝な顔をして瞳を開けた。 まだ、達していないというのに。 「このままでは君の方が可哀想だろう?」 「は?」 ちゅ、と軽くキスをしてマスタングがいきなりエドワードの体を上下反転させ自分を四つん這いの体勢で跨がせた。 「何すんだよ!」 「これならお互いを愛し合える」 「……え…?あっやめ…!」 ぎく、としたエドワードが振り返ろうとしたとたんにマスタングの手がエドワードの膝を開かせ先ほど嫌というほど攻められた個所に指をあてがわれる。 「…さ、続きを」 「む、無理だよ…!こんな体勢…!」 「した事はあるだろう?」 「で、でも……っ」 それは男の子の身体の時で、これは。 戸惑うエドワードをまったく気にせず、マスタングは目の前にさらされたエドワードの秘所を指でぐり、と強くなで上げた。 「ひ、あ…っっ」 一瞬びくん、と背中をそらせてエドワードが頭を垂れ、とてもマスタングには見せられそうもない人生一番の情けない顔をゆがめる。 この攻めに耐えながらしろってか!? とても出来そうもない事だが、きっとマスタングをイカせないと止めてくれないのだろう。 「〜〜〜っんの変態!!」 「さあ?君も同様だと思うがね」 「やっあぁっっん!」 エドワードは嫌でも声を上げて開かされた唇に、マスタングの自分の口淫で濡れて張り詰めた身体をそっと、奥まで含む。同時にマスタングの指に広げられた溶けきった箇所に厚みのある舌が押し込まれる。 「んん――――!!!」 「…エド……っく…っ」 「………もう、ぜってー…、女になんか、ならねぇ…」 「ほお?そうか」 くく、と笑うマスタングにエドワードがぐったりしながらも拳を握って見せる。 マスタングは息も絶え絶えなエドワードの体の汗を拭き取り、ドクターマルコーがいつ来てもいいように仕上げていた。 「まぁ…」 「……?」 今度は穏やかな笑みでエドワードを見下ろし、マスタングはエドワードの額に口付けを落とす。 「私はね……君が好きだから。どっちでも構わないさ」 「………」 ぼ、とエドワードが赤くなり、頭の上でマスタングが笑う気配に諦めたように目尻を下げた。 そっとマスタングの首に腕を回し、気づいたマスタングが優しく唇を寄せてくるのを安堵の中で瞳を閉じる。 「…何があっても処女をもらうのは、私だからね」 「―――っ変態ロリコン!!」 ごん、とエドワードがマスタングの後頭部をぐうで殴った。 * * * * * * * * 「……結局、どうなったんですか?」 ホークアイがちょっと蔑むような視線をマスタングに向ける。 マスタングは机に頬杖をついてホークアイの視線から逃れるように天上を見てから笑いをする。 「ああ、まぁ……何とかね、なった、かな…?」 結局、一ヶ月は砂糖を摂取しないで様子を見ること、がドクターマルコーの診断だった。 どうやって計算したのか、怪しくてそれだって信用できるものではないが、とにかく様子を見るしかない。 不可抗力で砂糖を摂取してしまったらまたそこから一ヶ月。 だからエドワードはここ二週間ほどぴりぴりしている。 マスタングも細心の注意を払って食事を用意しているつもりなのだが、エドワード自身が間違って砂糖を使ってしまっても、とばっちりはマスタングに来る。 あれ以来、女の子になったからってえっちをさせてくれるわけでもなかったし。 ドタドタ… バタン! 「…鋼、の……?」 「大佐てめー!!!」 「な…!?」 エドワードがぶち壊しそうな勢いで扉を叩き開け、飛び込んでくる。 マスタングは椅子にいっぱいいっぱいに仰け反ってあわあわと逃げ腰になるがあっという間にエドワードに掴まって摘み上げられた猫のように首をすくめた。 「ど、ど、どうしたんだ…?」 「これ!」 「……どれ?」 ずい、と目の前に差し出されるのはどう見てもコップに入れられた、ただの水。 でもエドワードが怒髪天のこの状況はそれに、まさか? 「砂糖水!」 「は…?……あ…!!」 マスタングは植木に砂糖水をやると良いとか何とか聞いたから今朝それを作って………置きっ放しにしていた、のを思い出した。 ぐぐぐ、とエドワードが握り締めた拳をマスタングの顔の前に突き出し、マスタングは言い訳するために開けた口を上手く動かせずにぱくぱくしながら首を振った。 「こんの……っへんた―――い!!!!」 「エドワード!違――――っっ!!!!」 ホークアイはマスタングの処理済の書類を机から非難させ、一礼してドアまでさっさと歩き出した。 「ちゅ、中尉!」 「その書類は、あと一時間後の軍議までにお願いします」 「ちゅ…!」 バタン 扉が閉まってしまう。 いっときの欲に流される者はその後の苦しみを考えるべきである。 それについては学習能力がない、とマスタングは自身の愚かさを認めざるを得ないと、痛感した事件だった。 → ええ、まぁ…その。 結局、そんなもんで。 女体えっちは書く気はなかったんですけどね。ホント。 何かなりゆき? うちはマスタングがえろいけど、どっちかっつーとエドワードの方が若気の至り?を起こす事が多い気がする。 たいていマスタングが耐えようとするのをエドワードが誘っちゃうもんねー…。 ロイエド、書いてるうちにうちの傾向変わってきたような気がしてならない。 男の子らしいエドワードが書きたい MAGU にとってはこの状況、どうなんだろうか、はははは。 MAGU [*前へ][次へ#] |