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†ロイエド*奥の間†
『猫のきまぐれ−その後*R18』…猫のじゃれ合いは時にやらしいですしね。
「…ん」
「起きたか?」

エドワ―ドがうっすら開けたまぶたに、マスタングは顔を覗き込んで優しく揺らすと、寝ぼけていたエドワ―ドが、ちら、と回りを見渡し、あ、と自分の状況を思い出してぴき、と体を緊張させた。

「どうした…」

小1時間前、眠ってしまうまであれほど自分に甘えていたエドワ―ドが、急に爪の先までピンと神経を張る事にマスタングはちょっと困惑する。

「ん、…なんでもねぇ」

何でもなくない。
どう見てもふだんの、いやそれ以上にエドワ―ドの警戒心が強くなった。目が覚めていきなりマスタングに抱き抱えられている事に、記憶が混乱する。

「…」

マスタングは、エドワ―ドの緊張を煽らないようため息を飲み込む。

やっぱり、さっき…もう少し甘い事でもしておけば良かった。

キスもろくにしなかったのに。

マスタングは今心底がっかりする自分に、がっかりした。

なんて事だろう。
自分に安心して眠った相手に悪戯しておけば良かったかなんて、下衆な。

「…」

それにしてもこの変わりよう。
もったいない事をしたのだと思い知らされる。

マスタングはエドワ―ドを抱えていた腕を解いて、膝の上のエドワ―ドに降りるよう軽く促す。

「…なに…」

立ち上がろうとしているマスタングに、エドワ―ドが一瞬戸惑って思わずマスタングの腕を掴む。

「あ、…いや」

あまりの反応の早さにマスタングが驚きながら体勢を戻す。

エドワ―ドが動揺してしまったから、少し離れた方が良いのかと思ったのに、…違ったのか?


「…お茶を、煎れなおそうかと」

思っただけなんだが。

エドワ―ド自身が、今とった行動に驚いているのがわかり、マスタングは苦笑いした。

まだ、余韻が残っているのだろうか、甘ったれた気分が。
少しでも。

「……」

次の行動をどうしたら良いのかもわからないエドワ―ドの表情に、マスタングは振り払うにはもったいないその手を、そっと、放してやる。

「飲むだろう?もう冷めてしまったからな」
「…ん、ぅん」

再び立ち上がろうとするマスタングの腕を、エドワ―ドは放すしかなかった。

マスタングはぽん、と軽くエドワ―ドの頭に触れ、キッチンへと向かう。エドワ―ドがうつむいたままその場から去るマスタングの足元を見て少しだけ、唇を噛む。

目が覚めて、マスタングの腕の中にいた事にかなり動揺してしまって。マスタングはたぶん自分が起きたらおはようのキスくらい何の問題もなくさせてくれるだろうと思っていただろうに、見事に裏切ってしまったわけだ。

キッチンでお湯を沸かし始めたマスタングをうかがい見ながら、エドワ―ドはうう、と口元をゆがめた。

あまりに気持ち良くマスタングにもたれて眠っていたから、今のこんな数メ―トルの距離が辛く感じた。

エドワ―ドはブランケットを手に引きずりながら立ち上がり、背中を向けているマスタングの側まで忍び足で近寄る。
どんな顔をしているのか、見たかった。

「……」
「…」

マスタングは無言でコンロの火を見つめていた。でもちょっとだけ、口元が、すねてる…?

エドワ―ドはそのわずかな本心に、ぐわん、と頭を殴られたくらい、目眩がした。

「〜〜〜〜ッ」


な、な、なんだよ、あの顔…!

吹き出しそうになり、気付かれないようにブランケットをにぎった両手で口を覆って声を堪える。

う―、う―、と笑いとも呻きともわからない悲鳴を押し殺し、エドワ―ドがマスタングの後ろで音を立てないようにジタジタと跳ねる。

不覚にも、可愛いんじゃないかと、年上の彼に感じたのが、とにかくおかしくて仕方ない。
以前だったら、してやったり、一生上から目線でからかいのネタにしようとするはずの自分が。

「…っ…っ」

苦しくて座り込みながら、エドワ―ドはマスタングの後ろ姿を見上げる。全然動かない。
何か考えているのだろうか。
それとも、自分がとった行動にそれこそヘコんだのだろうか。

「…」

ちょっとだけ、小さく、マスタングが肩を落としたように見えた。

それにエドワ―ドは目をパチパチさせて驚きと同時に、込み上げる喜々とした気持ちに耐えられなくなってしまう。
なんていい気分なんだろう。

エドワ―ドはゆっくり立ち上がり、後ろからそろそろと気配を消して近寄る。
カタカタとケトルが湯気を上げ始めた。

「…た、い、さ…」
「…ん?ぉ…」

近付いたエドワ―ドにまったく気付かなかったマスタングが振り返ろうとして、脇から腕を回してくるエドワ―ドに抱き込まれる。

驚く間もなく、エドワ―ドがするりと体をマスタングの前まで運び、笑いを堪えながらぎゅう、と抱き付く。

「大佐、大佐、大佐!」
「エ、な、な…」

エドワ―ドが足元で跳ねるようにして体を揺らす。

「んん〜っ」

ぐりぐり顔をマスタングの胸元に押し付け堪えきれずにエドワ―ドが笑う。

「な、…な…?」

なんだ、すら言えずに、マスタングはいきなりスイッチの入ったエドワ―ドに対応できずにいた。

「…あ…っ」

カタカタッとケトルの蓋が噴き出し、マスタングはエドワ―ドに抱き付かれたまま慌てて火を止めた。

「ん―…」

シンクに押されたエドワ―ドが少し不満そうな声を出してマスタングを見上げる。

「火を止めただけだよ」

焦らせるような湯の沸く音が消えた事で、マスタングもようやく落ち着いて来た。

「なんだ、退屈していたのか?」
「違う」


全然違う。
そっちこそ、すねてたクセに。

エドワ―ドはマスタングを見上げながら、くく、と口をゆがめて笑う。

「じゃあ…どうしたんだ」

エドワ―ドの体に腕を回してマスタングは様子をうかがいながら軽く口付けてみる。
エドワ―ドが、ぎゅ、とシャツを握って少し背伸びをする。

もっと。

それがマスタングに伝わり、マスタングは薄く瞳を開いてエドワ―ドの表情を覗き見る。

「……」
「…んぅ…っ」

思わずエドワ―ドが甘い声をもらすほど、マスタングがエドワ―ドの唇に吸い付く。
わずかな視界に映ったエドワ―ドの表情があまりに嬉しそうで思わず抱きしめる腕に力を入れてしまう。


「ん…ん、ぅ、ん…」

エドワ―ドがマスタングの舌に翻弄されながらもより求めるようにマスタングをキツく抱き締める。

「……っ」

濡れた唇がすり合わさる感覚にエドワ―ドの膝が崩れそうになってマスタングが抱き留めた。

「んっ…大佐…、もっと」

自分を抱き留めて体を屈めたマスタングに、エドワ―ドは倒れ込みながら唇を重ねる。

「エド……エド、おいで」

床に膝をついたマスタングの首に腕を回すエドワ―ドを、マスタングが、ぎゅ、と抱え上げた。

「…大佐?」

足が宙に浮き、エドワ―ドが少し慌ててマスタングを見下ろす。
マスタングは急ぎそうになる足を押さえて、ソファまでエドワ―ドを抱えて歩く。

すとん、とソファにエドワ―ドを座らせて両手を背もたれにつくと、マスタングが覆い被さるようにエドワ―ドに顔を寄せた。

「エドワ―ド…」

唇が作る緩い弧に、マスタングのエドワ―ドに対する感情が溢れている。

「…たいさ…」

エドワ―ドがマスタングのシャツを掴んで引き寄せる。

エドワ―ドに引かれるまま体を寄せ、唇が触れそうな瞬間にマスタングがそれを止めると、エドワ―ドがム、と睨んで体を起こして口付ける。

ほんとに、ちょっとでもつれなくすると自分から寄ってくるなんて、猫そのものだ。

甘いものでも食べるようにエドワ―ドが顔をほころばせてマスタングの唇と舌を舐める。
マスタングはいつも見る事のないエドワ―ドの溶けるような表情に、ソファを、ぐ、と掴んだ。

ここでも、大丈夫か。

ソファの幅をちら、と確認して、マスタングは喉を鳴らす。

そんな相手に気付かないで、されるままのマスタングに気を良くして抱き寄せるエドワ―ドに、マスタングはちょっと不思議そうに顔を寄せて囁く。


「…キスだけで…いいのか…?」
「ん?」

膝が折れるほど口付けにおぼれていたわりには、エドワ―ドに続きを求める素振りはない。
んん?とエドワ―ドがマスタングを上目遣いに見上げてまた、ちゅ、とキスをする。

「…キスが一番、…いい…かな」

さすがに少し照れたようにエドワ―ドは視線を落とす。

「…甘えるには…」

カァ、と熱くなる顔を背け、エドワ―ドはソファに両足を上げて深く座った。

マスタングは、ふむ、と軽いため息をついて考えた。
では、キスだけならこのまま楽しめるが、先を促すと逃げられてしまう可能性があるという事か。
まぁ、今の調子で行為中甘えてくれるわけはないが。

マスタングの頭を巡る妄想はエドワ―ドにはとても見せられたものじゃないが、その10分の1くらいは満たしてくれてもいいんじゃないか?と思っていたわけだから、マスタングは思わずカク、と頭を垂れた。

「……」

エドワ―ドはちょっと困った。
したくない、わけではないが、このままずるずるとキスだけで戯れていたい。
始まってしまったら、自分が甘える余裕もスキもない。

ふ、と顔を上げたマスタングが、エドワ―ドの表情にクス、と笑う。

「そんな顔をしなくても、その気にならないなら…しないよ」
「う…ん―…」


エドワ―ドは、ソファの前に屈み込んでこちらを見上げているマスタングの腕を引き寄せて相手の肩に自分の頭を乗せた。すり、とマスタングがエドワ―ドに頭をすり寄せてくる。

「…大佐、したいのか…?」
「…まぁ、ね。…君がこんなに甘えてくれると、嫌でも期待してしまうから…」

くり、と顔をこちらに向けるマスタングに、エドワ―ドが、う、と言葉を詰まらせた。
それはマスタングの探るような雰囲気が瞳に表われていたから。

ほんとに、キスだけで満足?
帰れるのか?それで。

「〜〜」

何も言わないのに、マスタングの声が聞こえるようで、エドワ―ドは視線をそらして少し口を尖らせる。
深い黒の瞳はいつだってエドワ―ドの気持ちを揺さぶる。他の者には決して見せない愛しさを含んだ温かい色なのに、恋が見せる影は媚薬のようにエドワ―ドを捕らえる。その気じゃなくても引きずられてしまうのは、多分自分の瞳にも同じ色がうかんでいるから。
引き合ってしまう。


「…君が」
「あ?」

より頭を傾げ、マスタングはエドワ―ドの瞳を覗き込む。

「…して、とか言ったら私は倒れるかも知れないな」
「〜〜〜〜っっ」

悪びれもせずににっこり笑うマスタングにエドワ―ドが真っ赤になる。

「…そ、そそ、そんな、コト…ッ言わせ、てぇのかよ…」
「ん〜?さっきまでの君ならもっと、可愛い事を言ってくれそうだったんだがね」
「…え、ぇ……?」

クスクス笑うマスタングは、絶対に自分をハメようとしている。
わかってるのに。

「…キスして、は言えるのに、なぁ…?」

ふふ、とマスタングが口の端を上げてエドワ―ドの体温を上げる。

何、言えってんだ…?

マスタングがエドワ―ドの言葉を待つように言葉を切った。

「……」

エドワ―ドは何を言ったらどうなるのか、頭が整理できない。
乗せられてあらぬ事を口走らないようにとは思うが、じゃあ、ええと、この場を脱出する事を考えればいいのか?

マスタングの表情から溢れる色気という名の空気はエドワ―ドを飲み込む。
体の内側から自然と沸き起こってくる欲求は、自分の性ゆえか。愛しく感じる相手が見せる淫らな欲に魅入られるのは、やはり、男だから。
それを手に入れようとしなを作るのは女で、エドワ―ドからしたら、自分の振り子がどちらに強いか計りかねている。

「…な、あの、さ…?」
「なに…?」

エドワ―ドが腕に落ちてくるのを確信して、マスタングは笑みを浮かべながら体を寄せて抱き締める。

少しだけ迷いながら、エドワ―ドはマスタングの耳元に唇を寄せた。
そしてゆっくり息を吸い込んで囁く。

「なぁ……俺が…、…して、って言ったら?…」
「…ん、いいな…」

マスタングが嬉しそうに抱き締める腕に力を入れる。
まだ離れないエドワ―ドの首筋に唇を寄せると、エドワ―ドはツン、とマスタングの背中をつつく。

「…?」

ストップをかけられたかな、とそちらに向くと、エドワ―ドが手を口に当てて少し視線をそらす。
やっぱり言ってみただけか?

マスタングが表情は変えずにエドワ―ドの動向を探る。

エドワ―ドが何か思い当たったようにクス、と笑う。

「な…大佐」
「ん」

両足をマスタングの体に絡めた。
マスタングの手を引き寄せて、エドワ―ドは自分の体を抱えさせると、マスタングが見せるような色を浮かべた瞳を細めた。

「…悪戯、したいんだろ?俺に」

ピク、とマスタングの眉が上がる。

これは、甘えの続きの…カマかけか、それとも。
だったら、かけ返してみるまで。


「悪戯、…して欲しいんだろう?」

今度はエドワ―ドの眉がピク、と上がった。

こつん、とエドワ―ドが額を合わせて笑う。

「悪戯したいなら、すれば?」
「してほしいと言うなら、いくらでも?」

互いに譲らず、視線を合わせる。

「…したいって言ったらいいよ?」
「してくれと言うなら」

マスタングが微笑むと、エドワ―ドがむう、と口を尖らせた。
負けるのが悔しい。

それを見て、マスタングが満足そうにキスをして体を離す。

「ほら、負けたんだから…」
「ナ、ニ、ガ…!?」

ソファに、抱えるように上げているエドワ―ドの足をマスタングが視線を合わせたままゆっくり開かせる。
ハ―フパンツの内腿に指を滑らせてマスタングがそこに唇を寄せると、動けなくなっているエドワ―ドの視界の中で腿を舐める。

「ん!…大佐、駄、目…っ」

ビクン、と体を揺らし慌ててマスタングの頭を押してエドワ―ドが体を丸める。

「…ほら、言わないと」
「何をだよ―…」

下から見上げているマスタングに、エドワ―ドが口を尖らせる。
マスタングはふふ、と笑って膝の後ろから手を入れてエドワ―ドの足を体の方へ押す。押される事で、エドワ―ドが背もたれをずり落ちて完全にマスタングに押さえ込まれた。

「…ほら、もっと甘えて…?」
「……」

エドワ―ドの両脇に手をつき、マスタングは囁きながら顔を覗き込む。顔をそらすエドワ―ドは耳元まで色付いてちら、と瞳の端でマスタングを見た。

その気なんか、なかったのに。

ソファで体を丸めるのは少し苦しいのに、マスタングがそうさせているという事がエドワ―ドの気持ちをおかしな方へいざなう。
ソファに頭から腰までベッタリついているから、これを言ったら、逃げられないのに。

「……大佐…」
「ん…?」

エドワ―ドがマスタングの首に腕を回し、それでも言いかねてちょっと息を飲む。
マスタングがエドワ―ドの足を開かせたまま少し体を上げて顔を寄せた。
エドワ―ドは近くなったマスタングの瞳にビクつく気持ちと甘えたい気持ちとに、より顔を染め、ゆっくりと、囁く。

「…して、いいよ、…悪戯。大佐…」
「…ああ、してあげるよ」

エドワ―ドにとっては精一杯の言葉にマスタングが喉の奥で笑い優しく口付ける。

「ん…ん、ぁ…っ」

マスタングがシャツの上からエドワ―ドの胸元を探り、首に回っていたエドワ―ドの腕を外させるとソファの両脇に押さえ付けた。

「や、放せよ…っ」
「放したら悪戯にならないだろう」
「〜〜〜」
「……もっと、甘えてごらん?どうして欲しい?…エドワ―ド」

マスタングの言葉に開かされている足の付け根がうずく感触に、エドワ―ドの心音が熱く上がっていく。
このまま、甘えたい気持ちは、エドワ―ドのプライドが邪魔をする。マスタングはそれを重々承知なのだとわかるから、なおさら羞恥心を煽られる。

「…S」
「んん?」

エドワ―ドの言葉に、マスタングが一瞬困って笑う。

「…サドめ、どS」
「ああ、それか…」

納得してマスタングがふふ、と笑ってエドワ―ドの手をソファにキツく押さえた。

「どうかな…?私がSなら、君はMだろう…。イロイロ言われて…感じているのは知っているぞ?」
「…ん、や…っ」

胸元の突起を口で捕らえて軽く噛む。
エドワ―ドが押さえられている手をぎゅ、と握り締めた。

「…悪戯される、という言葉にこだわるのがいい証拠だよ。…可愛くて仕方ない」
「…ぁ」

自分でも気付かなかった気持ちの動きを突かれ、エドワ―ドが軽く震える。

「つい…いじめてしまいたくなる」

何度も胸の突起を口と舌でなぶりながら、マスタングは自分の腹辺りでビクビクと反応するエドワ―ドの下肢に喉を鳴らす。

「こんなふうに動きを制限されるだけで…」

ちら、とエドワ―ドを上目遣いに見るとエドワ―ドが、く、と唇を噛んで堪えている。
マスタングはその姿に自分の心音が甘い音を立てるのを聞く。

「…大…佐…」
「なに…?」
「…っ」

マスタングが寄せた体を擦るとエドワ―ドが下肢へ響く刺激に、ぎゅ、と目をつぶった。
そしてゆっくり瞳を開き、マスタングの方へ顔を寄せる。

キスを求めるそれに、マスタングは応じて、ちゅ…、と唇を合わせた。
もれるエドワ―ドの吐息が熱い。

「…大佐、…して…。…くち…で、して…」
「……口で?…して欲しいかい?」
「…ぅ、ん」

問い返されると、エドワ―ドは顔を背けて小さく頷く。

マスタングがエドワ―ドの手を放してハ―フパンツに手を掛ける。

「腰を浮かせなさい」
「…」

両手で体を支え、エドワ―ドが静かに腰を浮かせる。
マスタングは上半身を起こし、下着ごとハ―フパンツを脱がしてそのままエドワ―ドの足を押し広げた。

「―…っ」

勢いに、一瞬エドワ―ドが身を縮めるのを感じ、マスタングはクス、と笑みをもらし再びエドワ―ドの手首をソファに押さえる。

「…」

上目遣いにこちらを見て舌をちらつかせるマスタングに、エドワ―ドが体中に巡る神経が震えて釘付けになる。
もう少し、もう少しでマスタングの唇が触れる。思うだけで頭がクラクラしてくるのは、やはりマスタングの言う通りだからなのか。

マスタングが唇を開き、エドワ―ドの岐立の先端に舌をあてがう。

「…ふ…ぅっ、ぁ…」

舌の柔らかい感触が伝わり、エドワ―ドの腰が跳ね、マスタングは手首を強く押さえ付けた。

「や、…んあっ、あ…あぅ…っ」

舌全体で幹を丁寧に舐めていく動きにエドワ―ドは噛み殺せない声をもらす。
ベッドと違ってここではマスタングの行為が全て近くで見えてしまうから、エドワ―ドは顔を背け、薄く開いた瞳で覗き見るのが精一杯だった。

「あ!…んっ、うん…んっんっんんっ」

マスタングが急にエドワ―ドの熱を口に含み、エドワ―ドは開いた脚の先までビク、ビクと揺らして声を上げる。

「あ、う…っんっ。は、あ、ん!」

クチュ、クチュ、とマスタングの口元が音を立てる。
エドワ―ドは小刻みな震えが止まらなくて背けていた顔を、ゆっくり戻す。

「あ…!!」

熱に浮かされるように潤む目に、マスタングの視線が突き刺さり、エドワ―ドがビクン、と体を丸めた。

「…い、や…あ…あっっあっっあっっあぅ!」

腰が跳ねるたびにマスタングの唇を自身が深く潜り、また跳ねるから、エドワ―ドは息がつけなくなる。

マスタングが掴んでいた両手を放すと、エドワ―ドはすがるようにマスタングの髪を掴み膝を閉じようとする。

「はぁ…っ大佐…っっも、…や!や、ん!あっ」

頭を押されて、マスタングは少し動きを止め、唇を放すと、肩で息をして震えるエドワ―ドを上目遣いに見上げた。

「エド…」
「…や」

途中でストップされた事で上り詰めようとしていたエドワードが苦しそうに首を振ってマスタングを見る。

「大佐…、や…」
「ん…?」

抵抗するから、と言わんばかりにマスタングが口元で笑う。瞳が先を促す。

「…して…っ止めたら…辛…も、やぁ…」
「うん?…そうか」

うわずるエドワ―ドの声にマスタングが嬉しそうに目を細め、エドワ―ドの下肢に顔を埋める。
エドワ―ドが少しほっとするように息をつくと、マスタングはピク、と眉を上げ、ぐい、とエドワ―ドの脚を折って開かせた。
エドワ―ドがその動きにバッと脚を閉じようとして、マスタングがさせずにエドワ―ドの下肢を口に含む。

「んう…っっ。あ、は…っ」

それに流されマスタングの動きを見落とした瞬間、マスタングが幹の筋から下へと舌で辿り濡らして行く。
開いた脚の奥まで舌で辿り、エドワ―ドの秘所に当てがう。

「あ…っな、ん…!」

下肢の熱をそのままに刺激が別に移された事にエドワ―ドがカッと顔を赤くしてマスタングの髪を掴む。

マスタングは舌で回りを濡らし、自分の指を口に含んでエドワ―ドを見上げた。

「…?」

息の上るエドワ―ドは意図が読めずに、でもマスタングの表情が自分に与えるゾクゾクとした感覚にゴク、と喉を鳴らす。

「あ、なに…っあ…っ」

マスタングは再びエドワ―ドの岐立に唇を当ててぐいと奥まで咥え込むと、ビクッとのけ反るエドワ―ドの脚を片手で押さえてその秘所に親指の先を当て、ぐ、と差し込んだ。

「ああっっあんっ!」

エドワ―ドが体の中心に強い刺激が走って高い嬌声を上げる。

「あ、あ、や、大、佐…!ふぁあっ」

滑る唇の音と、指がうごめく感覚に、エドワ―ドが飛びそうな意識の中でマスタングの名を呼ぶ。

「んんう…っっも、…や!…ロイ…っぅあっんっ…!」

より深く指が押し込まれ強く抉られ、エドワ―ドが、ぐぐ、と体を丸めてマスタングの口内に熱を放つ。
マスタングは満足そうにそれを飲み込み、顔を上げた。

「…可愛いな、こっちもかなりキツく締め付けてる…」
「ふ…ん…ん!大佐…駄目、抜いて…」

体を上げたマスタングのシャツを掴みエドワ―ドはのけ反りながら体をよじる。

「抜いてしまったら慣らせないぞ…」
「あう…!あっ」

増える指がぐ、と秘所を押し広げ、エドワ―ドが息を飲む。

「…っ……っ」
「シャワ―を浴びて時間が経つわりには…柔らかいな…欲しいかい…?もう」

声を押し殺して堪えるエドワ―ドの耳元でマスタングが囁く。
こちらとしても、もうあまり待てない。

「…ロイ…ロイの、…欲し、い…」

薄目を開けて、エドワ―ドがマスタングの顔を両手で引き寄せ唇を重ねる。
震える息の熱さに、マスタングがゾク、と腰に刺激を感じる。

「エドワ―ド…私も、限界だな…」

ふ、と笑うマスタングに、エドワ―ドが少し顔をほころばせる。
マスタングの欲に艶めく瞳は自分にしか向けられない。

自分を求めるマスタングが愛しい。

カチャカチャ、とマスタングがズボンから自身を開放する音に、エドワ―ドは喉を慣らして深くソファに沈みながらマスタングの頭を抱き寄せる。

「エド…力を抜いて」
「…ん」

片膝をソファに上げ、マスタングがエドワ―ドに体を当てがう。

「…う、んん…っっ」

先端が割り入る感触はいつもキツく、エドワ―ドは意識しないと力が入ってしまう。
マスタングがエドワ―ドの耳元に舌を這わせ、気をそらせる。

「ふ…ぁ…あっ、あ!」

グン、と沈むマスタングの下肢にエドワ―ドがのけ反り、マスタングが少し顔をしかめた。

「…エド…?」
「大、丈夫…へいき…っ」

脚の先までフルフルと震えるエドワ―ドが、ぎゅ、と目を閉じる。

「…も、と…入っ…て」

エドワ―ドの言葉にマスタングは、小さく息を吐いて体をぐぐ、と押し込んで行く。

「はぅ…っっ。あ、ぁぁんっ」

体を押されてエドワ―ドは自然と開いていく脚を体に引きつけてより深くマスタングを導く。

「エド……ん、く…」

絡み付くようなエドワ―ドの中で、マスタングがビク、と反応する。
普段口にしないような言葉でマスタングを煽る事がエドワ―ド自身を煽る。
甘えたい、から始めた行為にエドワ―ドがおぼれていくのがマスタングにはたまらなく愛しい。
意地っ張りで、いきなり猫のようになついて来たかと思えば、こんなに淫らに甘えてくれるなんて。
予想外で、嬉しい。

「…動くよ…」

ちょっと意地悪をすると反応するのはわかっていたのに。
マスタングが、ふ、と笑ってエドワ―ドを抱き締める。

「…可愛い、君は本当に…」
「…ん!く、うう…っっあんっ…あう、うん…!」

マスタングの色付いた囁きとは逆に体を突き上げられるエドワ―ドが大きく身をのけ反らせてマスタングにしがみついた。

「エド…エド…」
「た、いさ…あっっあ、ああ…っっ」

ソファで折られる体の軋みが刺激を増幅させる。

「…は…」

マスタングがエドワ―ドの体を突き上げる事で得られる刺激に吐息をもらし、エドワ―ドの額に唇を寄せる。

「エド…いいかい…?」
「う、ん…んっ。ロイ…ロイ、も…っと…あ、やあ…っっ」

ソファが軋んで音を立てる。
エドワ―ドの体がマスタングの動きに合わせて揺れ、エドワ―ドがきつくマスタングを抱き締める。
奥まで埋められたマスタングがエドワ―ドの疼く箇所を捉えた。

「…このあたりか…?」
「ひぁぁ…っっ」

ぐい、とマスタングが深く突き上げ、エドワ―ドがビクン、と大きく跳ねた。
反応を確かめてマスタングが、く、と口角を上げ、一気に体を揺さぶる。

「んんう―!っあっ、ああ…!!大佐…っやう…っっあっ」

ガクガクと揺れる体に、エドワ―ドが頭を振る。マスタングの早い息遣いが耳元にあたり、エドワ―ドの意識が快楽の中へ沈む。

「ロ、イ…っっはあ…っんんっ好…き…っああっは…!」
「……っ」

エドワ―ドが上げる嬌声に、マスタングが顔をしかめて強く何度も攻め上げ、エドワ―ドの意識を飛ばす。

「あ……っっ」
「く……っ」

エドワ―ドがふっと力が抜けてソファに体を投げる。同時に体の限界に達したマスタングが奥歯を噛んでエドワ―ドを腕の中へ抱き留めた。

「……エド…」

荒い呼吸を整えながら、マスタングは腕の中のエドワ―ドの首筋に顔を埋める。
力の抜けたエドワ―ドが小さく声をもらしてマスタングのその顔にすり寄る。

「…ん…大佐…」
「…ん?」

まだ溶けたままのエドワ―ドの表情にマスタングが唇を寄せると、エドワ―ドが、ちゅ、と額にキスをする。

「……ど…えす…っ」

ち、とエドワ―ドが小さく舌打ちをした事にマスタングが、くく、と笑った。

「君もたいがいだよ…」
「…っ人のせいにすんなよっ」
「き、み、が…やらしいんだろう?」
「…あ、やめ…っ」

マスタングがわざと体を揺らす。

「…意地悪りぃ…っ」
「それが、いいクセに」

マスタングの腕の中で、むむ、と眉を寄せてエドワ―ドは口を尖らせる。
確かに、焦らされたり意地悪な事を言われると変な気分になるし、ちょっと楽しい。
でもそれを認めたら、マスタングの思うツボなのだ。

「…もう甘えない」
「…ふ、それはどうかな」

マスタングはエドワ―ドの腰を持上げ、体を軽く引く。

「なん…っまだ、やだ…っっ」
「そう言うな、私はもう少し…君に悪戯したいんだよ…」
「〜〜〜っっ」

確信犯的な笑みにエドワ―ドが赤くなりながら口元を歪めた。
マスタングが嬉しそうにその唇を舐める。

「や、ん…」
「SとMなら、ちょうどいいだろう?別に痛いコトはないのだから」
「…っ痛いコトなんかしたらぶっ殺す…」

睨むエドワ―ドに、マスタングが胸元に顔を埋めてクックッと肩を揺らした。
エドワ―ドはハァ、とため息をついてマスタングの頭を抱える。

ほんとに。

口先だけでいい。

それなら。

ふむ、とエドワ―ドが飲み込んでマスタングの黒髪を撫でる。

「…いじめると、可愛いよ。…私を好きだと言ってくれる」
「は、…え?」

嬉しそうに目を細めて口角を上げるマスタングに、エドワ―ドはぐるんと頭の記憶が戻ってきてまた一気に真っ赤になる。

「し、知らな…っ」
「ほら、…思い出しただろう?」

クスクスと笑うマスタングが、拳を握るエドワ―ドを優しく抱き締めた。

意地っ張りで強がりで、甘えたがりで寂しがり。
エドワ―ドとマスタングのそれは、どっちもどっち。










→ ええ、まあ…こんなもんですよ。どうせうちのロイさんは意地悪だし、エドはそんなんに翻弄されてしまうんですょ…。
どんどん何だかエドワードが男の子でなくなっていくー!!
引越し前のものを読み返すと『あんた』とか『てめぇ』とか言ってんのに〜…|||
今書けんのかね、あんなやり取り…。
MAGU




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