シャッフル!!
Taste of the misery of people honey5
トビーが店の2階の寝室を覗くと、ちょうど彼は目覚めてベッドに上半身を起こしたところだった。
「気分はどう?」
「あれ、ここトビーの部屋なんだ。なんでここに?まぁいいか。それよりさ、なんか作ってくれよ。腹減った」
布団を乱暴に捲ると、ドカドカと階下へいってしまう。
「う、うん」
いつもなら優しくキスをしてくれるのにーー
戸惑いながら自分も店へ降りると、すでにカウンターに座っている彼に何が食べたいかお伺いを立てる。
「ん〜と、そうだな・・うん、オムライスが食いたい」
「そう、わかったわ」
随分と子供っぽいものをオーダーするのねと思いつつ、フライパンをコンロに置いた。
「さあどうぞ、召し上がれ」
カウンターに皿を置くと、早速スプーンで口に放り込む。フライパンを洗っていると、客の来店を告げる鐘が、チリンチリンと小気味良い音を立てる。
「こんにちは、トビー」
顔を上げると、モーグリのソルベが立っていた。
「いらっしゃい、ソルベ。何にする?」
「パンケーキとミルクティを頼むクポ」
尻尾の先のオレンジ色のポンポンを揺らしてカウンターによじ登ると、口一杯にオムライスを頬張っている彼に声を掛ける。
「バルフレア、まだラバナスタにいるクポ?」
「バルフレア?さあな、本人に聞いてくれよ」
「本人て、バルフレアクポ?」
「誰が?」
「あなたがよ。はい、これーー」
その質問を予想していたように、トビーは手鏡を渡す。スプーンを持ったまま、鏡を受け取り覗き込む。
「え〜〜〜〜っ!?なんで?なんで俺がバルフレア?」
驚いて立ち上がるバルフレアを、ソルベとトビーはわけがわからず顔を見合わる。
「これ、あれ?あっーーー」
驚いていたバルフレアは、急に天井を見上げニヤリと笑う。
「バルフレアーー?」
「へへ・・」
「ねえ、バルフレアーー」
だらしなく口元を緩ませたまま、スプーンをトビーに突き出す。
「トビー、また来る!オムライス代、つけといてくれ!」
「ちょっとーー」
店を飛び出したバルフレアは、西門にある飛空挺ターミナルに走った。
個人用の駐機場に向かうと、思った通り白磁のような白く美しい機体のシュトラールが静かに佇んでいた。
目を輝かせて見上げていると、整備士がノノが出てくる。
「あ、バルフレア。整備終わったクポ」
「ノノ、久し振り!!」
シュトラールへ駆け込んでいくバルフレアに、首を捻る。
「・・・昨日も会ったクポ?」
コックピットへ入ると、フランが計器のチェックをしているところだった。
「フラン!!」
「あら、バルフレア。もういいの?」
「フラン、もう飛べるのか?」
「飛べるけど・・暫くラバナスタにいるんじゃないの?」
暫くトビーと過ごすと言っていたのにと、フランは怪訝な顔をする。
「すぐ飛ぶぞ!!」
「どこへ?」
「どこでもいいよ。そうだ、ラーサーに会いたいな。あ、なら、パンネロも一緒に。フラン、ちょっと待っててくれ!!パンネロ連れてくる!!」
慌ただしく飛び出していくバルフレアを見送りながら、フランは呟く。
「彼、あんなに落ち着きがなかったかしら・・・?なんだか、ヴァンみたいね」
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