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DREAM‐ASH‐
君のこと


……要するに、名前は非常に素直な人間だということなんだ。

付き合っていくうちにわかったことだけど、この日本の地では珍しいくらいに、名前は自分の意志をはっきりと持ち、発言している。
嫌味で言っているのではなく、いつだってはっきりと自分の意見を述べるのだ。
それは好き、それは嫌い、それはいい事、それは悪い事――

ただ、それを真顔で言われるものだから、はじめは少し無愛想な女だなぁ、と思っていた。
しかし、そうではなかった。
これも付き合っていくうちにわかったことだが――名前は心を開いた相手には、ちゃんと可愛らしい笑顔を見せてくれるのだ。
笑顔だけではない、喜怒哀楽、名前は本当に表情豊かなひとだったんだ。

人見知り……ではないが、会って間もない人間には興味が湧かず、ああなるのだと言う。
その考え方は、ボクにそっくりだと思った。

今では名前はボクにすっかり気を許してくれていて、ボクはいろんな名前の表情が見れて幸せだった。


そして、これも付き合っていくうちにわかったこと――とても忌まわしい事実だが、名前はよく他人(主に男)から『狙われる』のだ。

名前は凄く……というわけではないが、普通に美人だ。
だが恋人になりたい、というような理由ではなく、何かしらの理由で知らず知らずのうちに相手の怒りを買い、痛い目に合わせよう、と思わせてしまうのだ。

今だからそう思うのだけれど、おそらく名前はこの性格と容姿のせいで相手の怒りを買ってしまっている。

綺麗な女性にすました顔で、自分の気持ち(ここでは相手にとって腹が立つような内容を指す)をズケズケと言われたら、まぁ怒るのも無理はない……のかも知れない。

ただ恐れるべきは、少なからず名前が『綺麗な女性』であるという事実だ。

人間……特に乱暴で野性的な男は、上から自分を見るような、すまし顔をした相手を『こちらから見下してやりたい』と思うことが少なくはないはずだ。
その相手がさらに『綺麗な女性』であったなら、先にあげたような人間の、次に思いつくことは『凌辱』なのだ。

そして、この性格が名前にとって無意識の事なのだから問題は深刻だ。
名前に惚れ込んだ瞬間から、ボクはこの問題を危惧しているのだ。

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