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しかし…と、なおも言い募る新衛門に榊は、
「織田殿、貴方ちょっと庇いすぎですな。このお里と普通ではない懇意な仲なんでしょうかねぇ。ねぇ皆さん、どう思われます?」
と、周りの役人に含み笑いをしてみせる。

「何を馬鹿な亊を…」
呆れて反論しようとする新衛門を遮って榊は尚も続ける。
「そんな織田殿が関わっていては、この一件、公正なお調べは出来ないんじゃないですかね?何を言ってもああだこうだと庇いだてしてしまわれるのですから。そんな織田殿にはこの一件から手を退いて頂きたいものですな。ねぇ織田殿、如何なもんでしょう?織田殿がどうしても退かないと言われるのなら仕方がない。お奉行様に相談してみるとしましょうか」
榊のねちねちとした物言いに、皆やれやれといった面持ちである。

余りの言い分に新衛門が口を開こうとした その時、隣で成り行きを見ていた斎藤が新衛門を制した。
「織田、ここはこらえとけ。あの榊は何やかや言ってもお奉行に顔が利く、痛くもない腹を探られる必要はなかろうが」

「しかし斎藤さん…」

新衛門は斎藤の言葉に素直に頷くことが出来ないでいた。
斎藤の言う亊も解るのだが、このまま榊に主導権を渡してしまっては、どんなことになるか分かったもんじゃない。

「いいから、ここは退いとけ」
尚も言う斎藤に榊が口を挟む。
「何をお二人でコソコソと話しておいでですかねぇ」

「いや、榊殿、織田には手を退かせましょう。榊殿の言われる亊も、もっともだ」

「斎藤さん!」
声を上げた新衛門に斎藤はいいから、と言うように手で抑えると再び榊に言った。

「榊殿。織田には退かせます。だが、榊殿だけがお調べをするのもおかしい。ですから私がこの一件ご一緒させてもらいますよ」

そう言う斎藤に、榊はふん、と鼻を鳴らすと 「どうぞご自由になさって下さい」と言った。



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あきゅろす。
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