この気持ちは君にどこまで届いてる?
ヤマト×空
「不安そうな顔してる」
唐突に彼女が言った。見透かすような瞳が俺を見つめて、その中に映る戸惑った顔をした自分に思わず目を逸らす。
「ヤマト君」
優しい声が耳を刺す。なぁお前はいつまでそうやって俺を呼んでくれる?
「泣いているの?」
俺の頬に伸びた柔らかな手に縋るように自分の手を重ねれば、少しだけ驚いたように震える彼女の指先。しかしそれもすぐに止んで、愛おしむようにそっと、彼女の指が俺に触れる。
「空、そら……好きだよ」
想うだけで伝わるなら簡単だ。告げるだけで伝わるなら苦労はしない。お前はこんなに温かいのに、その温もりすら信じられない俺が居るんだ。
「大丈夫よ、ヤマト君」
子どもをあやすような甘い響きで、彼女が俺に囁く。
「不安なら教えてあげる。貴方の気持ちがちゃんと届いてること」
だから大丈夫よ、そう言って微笑む彼女に誘われるように、俺はそっと目を閉じる。数秒置いて重なる唇の感触にうっすらと目を開けば、至近距離にある彼女の顔。離れていこうとする唇を惜しむようにまた口付けて、その行為を何度も繰り返す。
「……っ、空」
何度キスを交わしても埋まらない寂しさが胸を掠める。交わっても交わっても、決して1つにはなれない。至極当然なその事実が俺を責める。
「ヤマトくん……私はここにいるわ」
彼女が俺を抱き締める。細い腕が俺を包む。そして言うんだ。言い聞かせるかのようにゆっくりと。
「ここに、いる。ちゃんとわかっているから」
いつか彼女が離れてしまうかもしれないと怯える俺を彼女は知っている。だから確かめるんだ。この愛がちゃんと届いているのか。
「好きだよ」
「私も好きよ」
交わす言葉は互いの合図。今日もあなたを愛しているよ、と。想うだけで伝わるなら簡単だ。告げるだけで伝わるなら苦労はしない。交わることが答えなら迷いはしない。それだけでは足りないから、こんなに苦しい。
でも、俺達はまだ知らない。それ以外の方法を。
なぁ、この気持ちは君にどこまで届いていますか?
2015/01/13 4:01 twitterログ加筆
お題は診断メーカー(http://shindanmaker.com/392860)より
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