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ヤマトとミミ
 彼のことが好きなのか、とよく言われた。彼のことが好きなのだろう、とも言われた。そんなことあるわけないでしょうと否定しながら、そう言われてもおかしくないと自分でもわかっていた。

「でも違うのよね」
「ん?」
「ヤマトさんのこと好きなんじゃないかって言われたの」
 あたしがそう言ったら、彼は少し笑っただけで何も言わなかった。その様子に、あたしは何故か焦って続く言葉を探す。

「違うって言ってるのに、そんな風に見えるのかしら」
「そう言いつつ、本当は俺のこと好きなんじゃないか?」
「……」
 はぁー、深い溜め息を吐く。呆れて物も言えないってきっとこういうことを言うのね。彼は分かってて言っている。あたしが彼を好きじゃないことも、そういう風に見られてるって分かってて言ってるってことも。

「ヤマトさんを好きになったってツラいだけだもの」
「?」
「ヤマトさんは空さんのことすごーく好きじゃない」
 彼はずっと片思いをしている。一度は心を通わせた恋人にずっと。あたしは近くで2人を見てた。いいなぁって思った。あんな幸せが、あたしも欲しいなぁって。

 だから2人が別れたって知った時は、驚いたし、ショックだった。あんなに幸せそうにしていたのに。思わず「どうして別れちゃったの!?」なんて問い詰めたあたしに、彼は困ったように「俺から別れたんじゃないよ」って答えた。


「そんなヤマトさんを振り向かせるなんて無謀でしょ。そんなことしたいと思うほど、ヤマトさんのこと好きじゃない」
 彼のことは好きだ。でもそれは恋愛感情とは似て非なるもの。多分、あたしが本気で彼を好きになったら、あたし達の関係は終わるだろう。彼は本当に彼女しか見ていないのだ。

「無謀かどうかはわかんないだろ」
「かなり難しいことは確かでしょ?」
「まぁそれは……うん」
「ほら、やっぱり」
 彼女を想う彼の気持ちを、知れば知るほどかなわないってわかった。どんなに彼が彼女を愛しているか、それがわからないほどあたしは子どもじゃない。

 だって、


「ずっと一緒だって思ってたんだもん」


 だってあたしも
 その痛みを知ってる。



「簡単に忘れられないわ……」
「別に忘れなくてもいいんじゃないか」
「でも彼はもうあたしを好きじゃないのに」
「自分が好きでいるだけなんだからいいだろ」
「……ヤマトさんは強いのね」
「やっぱり俺にはあいつしかいないってわかったからな」
「そう……」
 運命を信じた相手がもう自分を好きじゃないなんて残酷な現実を、それでも彼は受け止める。痛みすら受け入れて、なお彼女を想い続けている。

「あたしもね、あの人しかいないって思ってたの」
「あぁ」
「本当よ?」
「わかってるよ」
 苦笑する彼に、あたしは泣き笑いを返す。いつになったらあたしは、彼のように強くなれるのだろう。


「……ねぇ、ヤマトさん。もしも、お互い最後まで相手が居なかったら、あたしたち結婚しましょうか」

 そう言ったら彼は何だそれって顔をして、曖昧に笑った。



    




 彼のことが好きなんだって思われても仕方ないって思った。別にそれでもいいって思ってた。互いの痛みを共有しあって、そこに恋愛感情なんて無いってことはあたしも彼もわかっていたから。あたしと彼だけがわかっていればいいって思っていたから。これを恋心だって言うのなら、それはとても空っぽな恋だなって、そう思った。







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書きたいことだけ書いたら意味わかんなくなった。ヤマトとミミって絡ませにくくない?


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