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タケル→ヒカリ
 緊張と心配と、期待と不安と、どれが今の一番の気持ちかわからない。むしろそうだな、全部おんなじくらいっていうのが一番正しいかもしれない。

「明日、か」
 慣れ親しんだ土地を離れて、勝手もまだよくわからない新居で、もう少しで訪れる明日に思いを馳せる。

「きっと大丈夫だよね」
 自分を納得させるかのように呟く。大丈夫、きっと大丈夫だよ。僕は希望だもん。どんなところでも光を見出すのが僕だろう?

「光……」
 思い出すのは女の子。幼きあの日守ると決めた、儚くも芯の強いあの子。あれから何度か会ったけれど、ふと脳裏によぎるのは共に冒険したあの頃の姿ばかりだ。

「明日に、なれば」
 会える、と言いかけてハッとする。自分の考えていたことを自覚して、顔に熱が集まる。

「あぁー」
 重症だ。だって気付いてしまった。

「明日、かぁー……」
 べたりとベッドにうつ伏せになる。新しい場所への緊張とか不安とか、そんなの実は大したことじゃない。一番怖くて、一番期待してること。

「もー寝る……」
 今日もきっと夢に見る。昨日も一昨日もその前も、いつも見るのは同じ夢。

「ほんと、重症」
 苦笑いしながら目を閉じる。明日になればあの子に会える。だから、願わくばそれまでは……


夢でも貴方を想う


 次第に薄れていく意識の中に浮かんでくる君の笑顔。明日会えたら同じように笑ってくれるかな?



鷺草



あきゅろす。
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