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※高石姉弟

「おねーちゃんっ」

 弾んだ声が私をよんで、自室のドアが勢い良く開く。顔を出したのは2つ違いの弟。名前を翔という。

「チョコ! 作ろっ!」

 明るい笑顔で翔が差し出すのは、溶かしたチョコレートと様々なトッピング。アーモンドやフルーツ、ココアパウダーやチョコペンなんかもある。

「明日はバレンタインでしょ? 今年はデコチョコっていうやつにしようと思ったんだ!」

 そう言って、嬉しそうに翔がレシピを私に見せる。チョコの上に色々なものが乗っていて、可愛く豪華に装飾されている。

「これなら部屋でもできるし、おねーちゃんも一緒に作れるよね?」

 確認するかのように首を傾げ、不安げに問う翔に微笑みを返す。

「もちろんよ、一緒に作ろう!」

 私の返事を聞くと、パッと笑みを見せて翔がチョコ作りの準備を始める。周りが汚れないようにだろう、新聞紙やビニールを敷いて、ベッドに座った私が作業しやすいように机を運ぶ。

「よしっ、これで大丈夫だよっ」
「ありがとう、翔」
「えへへ」

 照れたように首を竦めて、翔が笑う。
 そして慣れた手つきでチョコレートを型に流し込むと、トッピング類に手を伸ばし好きなように飾り始める。

「わ、上手ねー!」
「練習したんだよっ」
「凄いわ、翔」
「おねーちゃんもやってみて!」

 翔のやり方を見よう見まねで真似てみる。チョコレートの上には小粒のイチゴチョコを乗せてハート型を作ってみる。

「あ、おねーちゃんのハートだ!」
「可愛いでしょ?」
「うん!」

 無邪気な声で翔が答える。
 翔はいつも私に優しい。姉だといっても何ひとつとして翔にしてあげられたことなんて無いのに。むしろ、私のせいで我慢させていることや寂しい思いをさせていることもあるのに。

「おねーちゃん、それ志貴おにーちゃんにあげるの?」

 なんでもないみたいに笑って、私を姉だと慕ってくれる。それがどんなに嬉しいことか。

「ううん、これは翔にだよ」
「え?」

 本気で驚いたようで、目をまん丸くする翔。白のチョコペンで「かけるへ」と書いて、翔に渡す。受け取った翔は、じっと私が渡したチョコレートを眺めていた。

「いつもありがとう、翔」

 翔が私を見つめる。私は自分にできる精一杯の笑顔を見せて、勢い良く翔を抱き締める。

「大好きよ!」

 抱き締めた腕の中で、翔はとても幸せそうに笑ってくれた。


優しい愛



「僕もおねーちゃん大好きだよ!」




+.Happy*Valentine.+



胡蝶蘭


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遅ればせながらハッピーバレンタインでしたっ。せっかくなのでアンケートで一位だった翔関連の話をと思いまして…
デコチョコ…私は材料費が足りなくて諦めました(´・ω・`)
あと2/14、志貴、誕生日おめでとう(←




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