グリーン×ブルー
夕立のような女だと思った。
(―――ねぇ、)
思い出したかのように突然降っては、好きなだけアスファルトにぶつかって、しばらくすると気が済んだかのように去っていくのだ。
(―――そろそろ行くわ、)
その通り雨に、俺はいつも振り回される。足止めされる。いつ止むともわからない雨が過ぎるのを、ただ待たなければならないのだ。
(―――……っ、)
雨宿りする場所がない時もある。そんな時は腹を括って雨を浴びるしかないんだ。容赦なく降り続ける雨を、びしょ濡れになっても受け止めるしか。
(―――ねぇ……、)
無視して走り去ることもできるんだ。代償はあっても、家に着けばそんなの関係ないのだから。けれど
(―――ごめんなさいね、)
その後はたいてい後悔に襲われる。次の時は……そう思ってる時に限って、夕立は来ない。まるで俺を避けるかのようにピタリと止んで。
(―――お久しぶり、)
忘れた頃にやってくる。
「……来る時は事前に連絡しろと言ったはずだ」
「たまたま近くを通ったんだもの」
「だとしても、」
「すぐに会いたかったの」
「……」
「なんとなく、来たくなったの」
「……好きにしろ」
窺うようにポツリポツリと降り始めて、今日もアイツは雨を降らせる。わかっていても、俺は傘を持ち歩かない。
(―――ありがと、グリーン)
降り終わった後の快晴の空に、
あの抜けるような青色に、
俺は恋をしてしまったから。
気まぐれな恋
そうして今日も
俺は夕立を待っている。
ギリア
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