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タケヒカ大2
※この話はこの話の続編となっております。







「おはよう、二人共」
 朝の通学路。
 女の子らしい可愛い声と笑顔で挨拶をしてきたクラスメート、もとい俺の片思い相手。

「おはよう、ヒカリちゃん」
 ……ついでに隣のこいつの彼女。

「おっはよーヒカリちゃん! 今日もいい天気だねっ」
 目一杯明るく挨拶を返す。たとえ他の人の彼女だとしても、会えるのはやっぱり嬉しいから。

「そうね、週末は雨だといいけどね」
「え?」
 相変わらず可愛らしい笑みをたたえているヒカリちゃんに思わず聞き返す。週末……?

「なんでもないわ。気にしないで」
「う、うん……」
 そう言って歩き出すヒカリちゃんを気付かれないように盗み見る。
 なんとなくだけど感じるんだよな。

「……なんか怒らすようなこと言ったっけ……」
 いや、たぶん。というか98パーセントくらい俺のせいじゃない。そう思ってヒカリちゃんの隣を歩く金髪を睨む。睨まれた本人は気付いているのかいないのか、涼しい顔をして歩き続けている。

(なんかフォローしろよ……!)
 鈍感な俺ですらわかる、ヒカリちゃんの怒り。そしてその理由は間違いなくあいつに――タケルにあるというのに!



「ところで、」
 鈴を鳴らしたようなヒカリちゃんの声がする。この場合、鳴らされた鈴は警告音だと思うけど。

「二人は何の話をしていたの?」
 ずいぶん楽しそうだったけど、なんて付け加えるヒカリちゃんから怒りのオーラがひしひし伝わってくる。やっぱりそれが理由か……!

「やだなぁヒカリちゃんってば。知ってて聞いてるくせに」
 ニッコリと笑ってタケルが言う。次の瞬間にはヒカリちゃんの笑顔が凍り付いた。ば、バカやろ……っ

「タケっ……」
「ひどい!」
 慌てて止めようと声をかけた俺を遮るように、ヒカリちゃんの声が重なる。遅かったか。瞬時に嫌な予感がしてくる。


「私はデートに誘ってくれないのに大輔君は誘うの!?」
 ああ、的中した。
 ヒカリちゃんとタケルが付き合い始めてから、この手の予感はだいたい的中するようになった。っていうかデートって!


「違うんだ、ヒカリちゃ、」
「そんなに大輔君が好きなの!?」
 またもやヒカリちゃんに言葉をかき消される。というかヒカリちゃん、その聞き方は……

「ある意味では一番好きかな」
 口元に手をあてて、考えるようにタケルが返事を返す。あのやろっ……

「誤解される言い方すんな!」
 やっとのことで出した声。だけど二人にはあまり効果がないようで。

「なによ、私を好きって言ったのは嘘なの?」
「嘘じゃないよ。ヒカリちゃんのことは好きだよ」
「じゃあ私と大輔君どっちが好きなの」
「友達と恋人は同一線上じゃ考えられないっていうか……」
 おいぃ、そこは「ヒカリちゃんだよ」って言うところだろー!?


「頼むから俺を巻き込まねーでくれ……」
 なんでよりによって、俺がヒカリちゃんの恋のライバルみたいになってるんだ。


「なによ……言っとくけど大輔君はタケル君より私が好きなんだからね!」
「へっ!?」
 突然、ヒカリちゃんが俺の背後に回り、俺を盾にするようにしてタケルに叫ぶ。

「あ、ずるいなぁ。でも、今、一緒にいる時間が一番長いのは僕の方だよ」
「はい?」
 俺の後ろにいるヒカリちゃんに向かってタケルが反論する……っていうかなんだこのケンカ。


「私の方が先に会ったんだからねーっ」
「会った順番なんて関係ないよ!」
「あ、あのさ〜ヒカリちゃん……?」
「僕にとっては、ここへ来てはじめての男友達なんだ。はじめてって、大事でしょう?」
「はじめての……?」
「あ、あれなんだこの雰囲気。おい、タケル……?」
 俺を間に挟んでカップル二人の口喧嘩。とりあえず話題がおかしいと思うんだが……。


「大輔君」
「は、はい! 何? ヒカリちゃん」
 やっとこさ話題に入れてもらえるようだ。今のタイミングで入りたくない気もするけど。


「大輔君はタケル君のはじめての人なの?」
「タケルっ!」
 キッとタケルを睨み付ける。睨まれた方は飄々とした様子で首を傾げる。

「なにを言ってんだよお前は〜っ」
 怒りを全面に押し出して抗議するも、タケルには全く効いていないようで軽くかわされる。


「も〜おまえやだ……ほんとやだ」
 半分ヤケになって言ってやると、さすがにかわいそうにでも思ったのだろうか、ごめんねとタケルが苦笑する。

「ちょっとからかいすぎちゃった。ごめんね、大輔君」
「大輔君、私もごめんなさい。途中から悪ノリしちゃった」
「ヒカリちゃんまで……!」
 くそぅ、二人ともグルだったのか……なんて言葉がでかかったけどやめた。というか疲れた。なんか最近こんなのばっかだ。


「ごめんね、大輔君」
「でも仕方ないのよ」
 左右からかかる声に二人の顔を交互に見る。



「「僕(私)たち、大輔君が大好きなんだ(なの)」」


 そう言って笑う二人に俺は溜め息をついて、それでも仕方ねーなと笑顔を返した。



貴方がいると心が和む






「ありがとう、大輔君」
「なんか言ったか?」
「ううん、なんでもないよ」
「? 変なヤツ」







ペチュニア


―――――――――――――
タケヒカに愛されてる大輔君が書きたかった。でも途中から収拾がつかなくなった。



あきゅろす。
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