タケヒカ大
視線の端に捉えた人影に、嬉しそうに顔を綻ばせて走り寄る彼。
幸せそうに笑う彼に私も微笑む。
それが私達の日常。
幸せな私達の……
って
「そんなわけないわよ……!」
苦々しげに呟いて前方を見る。朝の通学路には学校へと向かう生徒の群れ。私も例外ではなく、同じように学校へと歩を進めている。
先程、視線を送った前方には二人の男子生徒。黒いランドセルに、一方は帽子、もう一方はゴーグルをつけた、よく知ってる子達。ちなみに帽子を被った少年は私の彼氏だったりする。
「おはよう、大輔君! 今日もいい天気だね」
「おう、タケルか。だなー、これならサッカーが思う存分できそうだぜ!」
「じゃあ授業はぐっすり眠れそうだね」
「うっせー!」
笑い合う。楽しそうに。
この人達、会話が聞こえるほど近くに私がいること気付いているのかしら。
「ねぇねぇ大輔君、今度一緒に遊びに行こうよ」
「はー? 何だよ急に」
「いいじゃない、たまにはさ」
「別にいいけどよー」
ちょっ……ちょっと待ってよ!
私だってまだデートに誘われたことないのに、そんな話が出たこともないのに、なんなのこの会話。タケル君ったら、やたら嬉しそうだし!
「……つーかさぁ、お前なんでそんな俺にかまうんだよ」
「迷惑だった?」
「いや、迷惑っつーか……」
相変わらず満面の笑みを見せるタケル君にたじたじの大輔君。なにこの雰囲気。おかしいでしょ、おかしいわよ、絶対!
「……二人で遊びに行くなんてさせないんだから」
呟いて、深呼吸。
不敵な笑みを浮かべて二人を見る。
さぁ、どうやって話に乱入しようかしら?
危険な楽しみ
(……さっきから背後でヒカリちゃんが殺気だってんだけど)
(嫉妬するヒカリちゃんも可愛いよね)
(……俺を巻き込むなよ)
チューベローズ
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タケヒカに巻き込まれる大輔って面白いなって思ったんだ。
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