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タケヒカ(+賢京)
「あれ? 賢君?」

「!?」

 見覚えのある後ろ姿に気付いて声をかけると、かけられた方は大袈裟な程に肩を震わせて振り向いた。

「あ、あー……なんだ、タケル君かぁ……」

 安堵したような、それでいて残念そうな彼に「成程」と心の内で納得する。

「賢君もなかなかやるね?」

 にこやかにそう告げると、途端、彼の整った顔が真っ赤に染まる。

「な、何が……!?」

 隠したって無駄だとわかっているだろうに、平静を装う彼は正直、本当に頭がいいのかと疑いたくなる。面白いけど。

「京さんなら、多分まだ家に居るよ」

 知り合ってから約5年。最初の印象は最悪だった僕達も、今では同じ高校ということもあってか、随分と親しい友人となった。

「え、何で賢ちゃんの気持ちがわかるの!?」

 彼の肩越しにひょっこりと顔を出して、ワームモンが問うた。

「だってわかりやすいもん、ねータケル」

 僕の頭の上で目をこすりながらパタモンが答える。

「あ、パタモン起きたんだ」

 相変わらず眠たそうにしているパタモンに声をかけて、未だ赤い顔の彼に話しかける。

「ん、まぁそういうこと。頑張ってね」

 ひらひらと手を振ってその場を去る。まだ何か言いたげな彼を無視して。

「っとに、初々しいったら……」

 歩きながら思わず苦笑のような笑いが漏れる。

(あーあ、不覚にも羨ましいとか思っちゃうじゃん)

 僕の想い人である彼女は、高校も違い、今日だって会うのが久々なくらいだ。特に約束もしていないし、賢君みたいに迎えに行くのも何となく照れ臭い。

「タケルー、ぼくねー今日テイルモンと一緒に行く約束してるんだー」

「え?」

 パタモンの言葉に思わず反応して立ち止まり、顔を上げようとして固まった。

「あ、タケル君」

 僕の瞳にずっと会いたかった彼女が映る。鼓動が高鳴る。あんまり突然で心の準備が出来ていなかった。

「…………は」

 思わず視線を彼女から外す。

(白昼夢かと思った……)

 心臓の音が煩い。唾をのみこんで、もう一度顔をあげる。今度こそ大丈夫だ。





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あきゅろす。
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