【おめでとう】
「なあ、深司。今日が何の日か覚えてるか?」
「今日?…何の日だっけ」
「ホントに覚えてなぇのかよ!?」
「嘘だよ。神尾の誕生日でしょ?」
「なんで嘘つくんだよ!すっげぇショック受けたじゃんよぅ」
「だって、去年の俺の誕生日は忘れられてたから」
「あ。いや、それは悪かったって言ったじゃん!ちゃんとお祝いしただろ?」
「まあいいけど。で、何してほしいの」
「へ?」
「自分で誕生日を伝えに来るんだから、何かしてほしいことでもあるんじゃないの」
「え?いや、別に」
「はぁ?じゃあ、何でわざわざ言いに来たんだよ」
「だって深司が何も言ってくれねぇんだもん」
「忘れた振りしようとしてたからね」
「俺が言わなかったらどうする気だったんだよ」
「何も。ただ一日が過ぎてただけじゃない?」
「はぁ?仮にも付き合ってんだからさぁ、もっとこう」
「恋人らしく?」
「うん」
「その恋人の誕生日を忘れたのはそっちだろ。何自分だけが被害者ぶってんのさ」
「悪かったって!」
「で、何してほしい?今決めてよ」
「今!?う〜んと…」
「後五秒」
「早っ!!…あ。おめでとうって言って!」
「それだけ?」
「うん」
「ホントにそれだけでいいの?」
「いいってば。だってまだ言葉ですら祝ってもらえてねぇもん」
「わかった。『誕生日おめでとう』」
「サンキュ!」
「ねえ。ホントに言葉だけでいいの?…キスくらいしてあげようか?」
「キス!?い、いらねぇ!」
「いらない?俺とはキスしたくないっていうの?」
「ち、違っ!」
「ま、いいけど。俺の誕生日は覚悟した方がいいよ」
「深司、誤解だって〜!」
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