【知的好奇心】
それはある日の晴れた日曜日に起こった。
長太郎の一言で俺の大事な休日は潰れる事になるのだった。
『知的好奇心』
「…今、なんつった?」
珍しく部活のない日曜日に俺は長太郎に誘われて奴の家に来ていた。
最初はゲームをしたりテニスの話をしていたけど、その内俺は雑誌に夢中になり、長太郎は長太郎で漫画を読み始めていた。
それから何時間かした後、唐突に漫画を読むのをやめた長太郎が何か聞いてはいけない事を言ってきた。
そして、冒頭の俺の台詞に戻る。
「だから。前立腺ってホントに気持ち良くなるんですかね?」
あまりにも突拍子もない長太郎の言葉に、持っていた雑誌を落とす。
バサッと言う音に我に帰ると、俺は慌てて長太郎から距離を離した。
「あ。何で離れるんですか!」
「お前が変な事言うからだろうが!」
「変なって…純粋な好奇心じゃないですか」
さも自分は間違っていないと主張する長太郎に俺は頭を抱えたくなった。
いや…実際抱えてる。
何が純粋な好奇心だ、エロガキ。
「…どこでそんな情報を拾ってくんだよ、お前は」
「姉さんの持ってる漫画に書いてあったんです」
そう言ってさっきまで読んでいた漫画を見せる。表紙には男二人が乱れた服装で抱き合っている絵が描かれていた。
明らかに一般の人間が読むような内容ではない事がわかるその漫画を何故長太郎が読んだのかが気にはなるが、ろくな答えが返ってきそうないので心の中に押し止める事にした。
それにしても、ありえない。
それを俺に聞いてどうするんだ?
試したいとか言う気なのか!?
それこそありえない!
そんな事を試されるなんて堪ったもんじゃない俺は先手を打つ事にした。
「そんなに気になるなら自分で試せば?」
少し嫌味ったらしく言ってやる。
しかしそれは長太郎には通じなかった。
「えー…。それじゃあ、何の為に宍戸さんに聞いたのかわかんないじゃないですかー」
「お前な…」
つくづくこの手の話だと、長太郎は頑固になる。
俺は中三という多感な時期にも関わらず、性欲というものがあまりないようだ。
反対に長太郎は中二らしく、姓に対しての興味が人一倍あるようだ。
だからだろうか、俺にはどうして長太郎がそこまで必死なのかがわからない。
「宍戸さーん。そろそろステップアップしてもいいんじゃないですか?」
「ステップアップって…、別に…」
「え!まさか触りっこだけで満足なんですか?!」
満足だと思っていたのは自分だけだったようだ。
まぁ正直、恐いというのが本音だが。
長太郎が俺としたいと思ってるのは容易に想像できるし、それと同時に自分が女役なのだろうという事も想像できる事だ。
まあ…それは体格から言って仕方のない事だとは思ってるし、不満があるわけでもない。
でもこれ以上深い行為をするのが恐い。俺にとっては物凄く未知な事だから。
「いい加減先に進みましょうよー」
「で、でも…」
「…最後までしませんから」
「え?」
長太郎は言い淀む俺の言葉にため息をついた後、ふいに不思議な事を言った。
最後までとはどこまでの事を指しているんだ?
「少しずつ進んでいきましょう?いきなり挿れたいなんて言いませんから」
そう、何でもないようにさらりと笑顔で言う長太郎。
しかし、こっちに拒否権がないように感じるのは俺の気のせいか?
「…わかった」
「え?」
「ただし!前立腺を確かめるだけだからな!」
「はい!」
長太郎は嬉しそうに頷くと近づいてくる。
いきなりズボンを下ろされるかと思っていたら、予想に反してキスをされた。
それでもいきなりの深いキスに慌ててしまう。
うまく息が出来ない。
それでも何とか長太郎の動きに付いていこうと、懸命に舌を動かす。
少しの間没頭していると、長太郎が離れた。
俺はぼぅっとなりながら、長太郎の次の行動を見守る。
次こそズボンか?と思ったら、今度はシャツを捲ろうとしてきた。
「ちょっと待て!」
思わず制止の声をあげると、長太郎はなぜ止められたのかわからないといった顔できょとんと俺を見る。
「前立腺を試すんじゃなかったのか?」
「そうですけど?」
「そうですけどって…。これじゃ普通にやるみたいじゃねぇか!」
後半部分は顔が赤くなっていたかもしれないが、そこまで言うと長太郎にも意味は伝わったようだった。
「そういう気分も味わった方がいいかと思って」
「いらないから!今更そんな気遣いすんな!」
「そうですか?」
無言でうなずく俺を少しの間見つめていた長太郎だったが、納得したのか諦めたのかシャツから手を離した。
そしてズボンに手がかかる。
制服のようにベルトを付けていなかったので、ズボンはあっさりと下ろされた。ついでに下着も。
俺のソコは、さっきのキスに反応したのかこれからする事に少なからず興奮しているのか、軽くだが起ち上がりかけていた。
見られるのは初めてではないけど、じっと見られているだけというのはやはり恥ずかしい。
耐えられずに顔をそむけたとほば同時に長太郎に自身を触られた。
「あっ」
思わず声が漏れた。
その自分の声にすら羞恥して目を固く瞑る。
長太郎はゆるゆると手を動かし始めた。
「あっ……ん、ん」
「気持ちいい?宍戸さん…?」
気持ちいいかと聞かれて思わずいいと答えそうになったが、まだ残っている理性がその言葉を飲み込ませた。
「そ、んなの…いいから、さっさとやれ、よ」
とにかく恥ずかしくて、さっさと終わりにしたかったから言った言葉だったのだが、長太郎は変な顔をしながら手を止めた。
「宍戸さん、その言い方反則です…」
「?」
意味不明なことを呟くと同時に、長太郎の指な尻を撫でる。
ゾワゾワとした感覚に思わず身動ぎしてしまう。
長太郎は何がおかしいのかニヤニヤ笑っている。
その顔がムカついたので、早くしろ!と軽く腹を蹴ってやる。
「っ…!。もう…わかりましたよ。痛いと思いますけど、力抜いていて下さいね」
「いっ。…っんん…」
長太郎の指がゆっくりと入ってくる。
あまりの痛さに声も出ない。
そこは普段出る場所であり、入れる為には出来ていない。
そこに入れるのだから痛いだろうとは予測していたし、言われたことで覚悟もしていたのだが…。
そんな覚悟なんてあっさり消えてしまうくらい痛かった。
長太郎も締め付けられる力と俺の様子を見て、入り口付近から進まずにゆっくり解す事に専念している。
どのくらい経ったのか…。きっと数分しか経ってないのだろうが、痛みを耐えるのに必死で時間の進みが遅くなったような気がする。
「…この辺かな…?」
「……っ…」
長太郎は解しながらも着実に奥へと指を進めていく。
指がいつのまにか三本まで増やされていたが、全く気付かなかった。
「んー、宍戸さん?それっぽい場所に当たったら言ってくださいよ?」
「…な、…っ自分で見つけろよ!」
「だって宍戸さん声ころしてるし…」
「っ……それ、は」
正直言ってかなりヤバい。
突っ込まれた衝撃で萎えていたモノがまた起ちあがるくらいヤバい。
どうしよう…、気持ちいい気がしてきた…。
この程度で声をころさないといけないようでは、前立腺を見つけられたらどうなってしまうのか。
「んん…っは、……っうあ!」
「ここですか?」
少し意識を飛ばしていたら、急激な快感が体を走り抜けた。
思わずころしていた声もあがってしまう程に。
「ねぇ、宍戸さん気持ちいい…?」
長太郎が熱っぽい声で聞いてくる。
その間も指は前立腺を刺激し続けている。
俺はあまりの快感に喘ぐことしかできずにいた。
長太郎にはそれが何よりもの答えになったらしく嬉しそうな顔で指を動かす。
「はぁ、あ!…あぁあ、やめ!…っ、おかしく、ん、なる…!」
こんな快感知らない。
閉じれない口からは唾液が流れ、目は焦点が合わなくなる。
もう長太郎がどんな顔をしてるのか、何を言ってるのかも聞き取れない。
感じ過ぎておかしくなる。
「あ、…ん、っあ!ひぁ、も…イク!…あぁああ!」
俺はイくと同時に意識を失った。
遠くで長太郎の呼ぶ声が聞こえた気がした。
**
「すみませんでした…」
起きたと同時に長太郎に謝られた。
もの凄い勢いでの土下座には少しビビる。
どうやら、行為の最中は夢中になっていて俺の様子がおかしくなってるのも気にしなかったようだが、気絶してしまったのを見てさすがにマズいと思ったらしい。
俺はというと、実際は怒ってなんていないし、何より記憶が曖昧だった。
そりゃもう、気持ち良すぎた事は覚えているのだが、それだけ。
なぜかひどい事をされて気にはならなかった。
「別に怒ってねぇから、顔上げろって」
「でも…」
「あー…、それ以上謝るならもうヤらせねぇぞ?」
「うぇえ!?」
長太郎は変な声を出しながら顔を上げる。
その顔が今にも捨てられてしまいそうな犬のような顔で、思わず吹き出してしまった。
「宍戸さん?!」
「あ、わりぃ。とにかく俺は平気だし、…またヤりたいなら、ヤってもいい…し」
最後の方はさすがに小さくなってしまった。
でも、長太郎の顔がみるみる明るくなったという事は聞こえていたのだろう。
「はい!次は最後まで行きましょうね!」
「え…、最後までかよ…」
次は気絶では済まないのではないかと、今から不安になるのだった。
手加減しろよな?長太郎。
---あとがき---
挿れないエロを目指して自爆。
宍戸さんに「らめぇ」って言わせるか迷って思い止まった(嘘)
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