escort

レイトンはルークと共に、ラインフォード氏の遺産…黄金の果実とやらの調査の為、不思議な町へと訪れていた。
町の奥には歪な形の塔が聳え立ち不気味な雰囲気が漂っている。それを見ていると、町の方まで不気味に見えてしまうから困ったものだ。

しかしレイトンの頭は、これから訪れるであろうナゾに対する好奇心でいっぱいで、恐怖なんて物は微塵も感じていない。



「先生、本当に不思議な雰囲気の町ですね…」



町への入り口である跳ね橋の前で車を降り、傍に寄って来たレイトンへルークが開口一番そう言った。
まだ少年ながら周りの空気に敏感なルークは、入ってもいない町の雰囲気を感じ取ったようだ。

そうだね、と応えるレイトン、早速跳ね橋の所に居る男に声を掛けようとしたのだが…。
ふと気になる事があってルークに問い掛けてみる。



「ルーク、怖いのかい?」

「えっ!? なに言ってるんですか先生、怖いわけありません!」



急にからかわないで下さいよ、と笑うルークは、どうやら気付いていないらしい。
それ程無意識に、自然にやっている事なのだろう。



「じゃあ、そんなに私の袖を掴む必要はないんじゃないかな」

「えっ…」



車を降り、レイトンが傍に寄った瞬間から、ルークは無意識にレイトンの袖を掴んでいた。
そのままキョロキョロと辺りを見回す様子は、
傍から見れば、不安な為にレイトンに縋っているように見える。

ようやく自覚して、顔を真っ赤に染めるルーク。
しかしレイトンの袖を放そうとはしない。



「怖い訳じゃありません。ちょっと寒いだけです、町に入ったら平気です!」

「そうかい。じゃあ、折角だからエスコートしてあげようか」



軽く笑いながら言うレイトンに、子供扱いしないで下さいと拗ね気味に下を向くルーク。
実際彼は子供なのだからある程度の子供扱いは仕方ないのだが…。



「ルーク、エスコートは子供扱いではないと思うよ」

「まぁそうですね…っと、こんな話なんかしてないで行きましょう」



そう言って袖を引っ張る少年に、レイトンはどうしようも無い愛おしさを感じる。
同時に、様々な事件に関わって危ない橋を渡る事も多い自分に付いて来る彼が心配だった。

エスコートしてあげようか、と言ったのは半分本気だ。
自分の腕に掴まらせ、どこへ行くにも彼を導いて護りたいと思っているから。

だがよほど危険でもない限り、好奇心の塊のような少年の行動を制限してしまうような事は、するべきではないのだ。
初めから全ての道を与え庇護し続けるなど、少年の成長を妨げてしまう事も多い。

しかし…。

やはり、ルークをずっと庇護していたいと言う欲がレイトンにはあった。

跳ね橋を下ろして貰い、先を進んで町へ入って行くルークの背中を見ると、先ほど袖を掴んでくれていたのが嬉しく思える。



「(まるで、子離れ出来ない父親のようだな…)」



密かに苦笑するレイトン、彼は、自身の本当の気持ちには気付いていないようである。
その庇護欲は、親の子に対するものとは違うと言う事を…。



こちらを振り返って手招く少年に微笑みながら、レイトンは不思議な町へと足を踏み入れた。





*END*


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私がレイトン×ルークを意識するようになったキッカケ、不思議な町の入り口でレイトンの袖を掴んでいたルークネタ。

この話では、まだお互いに意識してませんね。



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