●生まれてくる貴方へ
湯舟の中で、膝を抱えた。
醜く出っ張ったお腹に手を触れる。
生まれてくる子供に罪はない。
だけど私は貴方を一度たりとも願ったことはなかった。
どうして、生まれてきてしまうの。
出来るなら子宮をもぎ取り、なかった事にしてしまいたい。
私は生まれた貴方を愛してあげれるでしょうか。
貴方は私の愛がなくとも生きていけるでしょうか。
愛してもいない男の。しかも嫌悪を抱いている男に買われた私。ただ、子供を産む機械として娶られた私。
そんな私に愛を期待するだけ無駄であって。
「それでも。貴方は、強く生きていけばいい」
誰からも愛されなくても。可愛がられなくても。
上辺だけの言葉で過ごしていく事になっても。
強く、
強く、
強く。
「嗚呼、死んでしまえばいいのに。あいつも、私も、貴方も」
弱い私には、貴方が強くなる事を祈るしかありません。
[前へ]
[次へ]
無料HPエムペ!