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●そして僕は平和の為に旅立つ@


大切な幼なじみがいた
大切な友達がいた
友達の妹…僕にとっても大切な妹分がいた



ガシャンと派手な音を立てて、何かが割れた。
ヒロはその音で、我に返り、頭を抱えた。

(また…、記憶がない)

ここ最近、頻繁に起こる現象で、知らない内に自分は何かを壊している。
今日は家にあった花瓶を壊してしまったようだ。

(………なんで…)

無意識に破壊活動を行う自分が怖い。
ヒロは手を震わせながら、花瓶の破片を拾った。

(いつからだ?)

魔王の使い魔・邪竜が人間界に現れたという噂を聞いた頃からだったろうか。

(不安なのか。いけないな、僕は勇者だ。心をしっかり持たなければ)

ヒロの家系は勇者を家業としている。先祖代々から受け継いだ聖剣があり、『成人』となったヒロはそれを使い、魔王を倒しに行かないとならない。
魔王は強く、生きて帰れる者も少なくはない。

(リヴには…心配をかけてしまうから、シグに相談してみようか)

一人、不安でいるよりも友に相談する事で、いくらか心は軽くなるだろう。
ヒロは仏頂面で迎えてくれるだろう友を思い浮かべ、くすりと笑みを零した。

「っ痛!」

油断して花瓶の破片で手を切ってしまった。
人差し指に赤い筋が刻まれ、そこからぷくりと赤い玉が浮かび…





『シグ…、僕はきっともう…。殺…て…れ』


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