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●だって、それが俺の役目A


デートを楽しんでいる最中に携帯の着信が鳴った。
それは悠斗専用の着メロで。
何かあったのだろうかと心配になり、彼女に一言断ってから電話に出た。

「もしもし?どうしたの」
『………今、どこ?』
「ショッピングモール」
『………デート中?』
「うん」
『………』
「悠斗?」
『…て…』
「え?」
『助けて。苦しい。』

電話の向こうで、しゃくり声をあげて悠斗が助けを求める。

「…ね、もしかしてやっちゃったの?」

もしかして、と聞いてみると無言の肯定。
…リストカット。
悠斗は中学に入った頃から自傷するようになった。手首が痛々しい紅い傷でいっぱい。度々、深く切りすぎて病院にお世話になる事も多い。

「待ってて、今そっち行くから!」

俺は彼女にごめん、と告げると悠斗の元へと駆け出した。


こんな事が暫く続いたある日。とうとう我慢が出来なくなった彼女が泣きながら不満をぶつけてきた。

「篠崎くん、私とその携帯の人、どっちが大切なのっ?!」
「…」
「私、篠崎くんの彼女だよね?なのにいつもその携帯の人によって邪魔されてる!」
「…」
「携帯の人が情緒不安定で、目を離したら危ないっていうのは分かってるよ。でもね、その人は篠崎くんを頼り過ぎだよ。ちょっとおかしいよ」
「……」
「篠崎くんはそれでいいの?自分の人生、その人に依存されて台なしにされてっ」
「うん、ごめんね」
「篠崎くん…」

俺はにこりと笑った。

「俺、悠斗を放っておけない。頼られるのが好きなんだ」



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あきゅろす。
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