●だって、それが俺の役目@
「あのさ、告白してもいいかな?」
「告白?何?」
「実はさ、俺、彼女が出来たんだ」
「………彼女?」
「そう。彼女」
「……ふーん、そう…」
俺の告白を聞いた途端に陰った悠斗の瞳に気付かない振りをして、いつも通り一緒にゲームをしたりだべったりしてから帰った。
悠斗とは小学生の頃まで、家が隣同士だった。
悠斗の家では両親の虐待が酷くて、顔や体はいつも痣だらけで、たいてい部屋の隅っこで一人膝を抱えて座っていた。
そんな悠斗に声をかける人はいなくて、また声をかけられても悠斗は無視をした。俺は、友達も作らないで孤独な悠斗を放っておけずに何度も話し掛け面倒をみてやった。
それが嬉しかったようで、悠斗は俺にだけ懐いてくれて、なんだかとても誇らしい気分になった。
小学生後半あたり、事故で両親を亡くした悠斗は遠縁の親戚に引き取られた。でも馬が会わないようで、孤独感は消えなかったようだ。
度々あいつは俺を頼りに、家を抜け出して色々と話を聞いてやった。やっぱり頼られてるようで、すごく嬉しかった。
中学時代に虐められた悠斗は高校になった現在、部屋から出なくなった。
そんな悠斗の様子を毎日見に行くのは俺の務めみたいなもので。でも、これからは彼女が出来たから、少しだけ一緒にいる時間が減ってしまうだろう。悠斗には寂しく感じさせてしまうけど、少しだけだから大丈夫だよな。
「待った?」
今日は先日出来た彼女とのデート。
彼女から告白されて、好みだったし、そろそろ恋人の一人でも欲しかった所でちょうどいいなーって思って即OKした。
「ううん、さっききたばっかりだよ」
はにかんだ笑顔が可愛い。ふわふわして正しく守ってあげたい女の子。
自然に笑みが零れ、彼女の手を握って街を歩きだした。
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