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繋いだ手を離さずにいて

帰り道。久しぶりに一緒に下校出来ると知って浮かれていた。
だけども彼の右手には鞄。左手はポケットの中。
手を繋ぎたいのに、何ていう仕打ち!
これは私に対する挑戦?それとも障害?
だがしかーし!そんなもん恋する乙女には関係ないのだ。ぱぱっと乗り越えてやんよ!

「ねえ。今日、寒い?」
「…何で?」
「ポッケに手を入れてるから」
「別に、いつもの癖だろう」
「そ、そりゃそうだけど」

無言。
はい、会話終了ー。
彼が素っ気ないのはいつもだよ、ポケットに手を入れるのもいつもの事だよ。
でもまだまだ、こんなんで凹まないんだもんね。

「あっ!ポケットに手を入れてたら危なくない?転んだ時とかどうするの?」
「はっ。そこまでドジじゃないよ。あんたじゃあるまいし」
「ううっ…」

鼻で笑われて会話終了。
ちくしょー、ばかやろー。少しは察しろよ。
手を繋ぎたいんだよ、触りたいんだよ、触られたいんだよ、いちゃいちゃしたいんだよ!
久々の彼女に対する態度じゃないよね、それ!
くそぅ、一匹狼気取りの頭のいいクールなイケメンめ!大好きだこんちくしょーーー!
…駄目だ。なんか混乱してきた。所詮私は彼の悪口さえいえませんよ、えぇ、惚れた弱みですよ。

「……。全く、仕方ないな。ほら」
「え…?」

彼の左手が私の前に差し延べられていた。

「つ、つ、つ、繋いでいいって事?!」
「嫌ならいいよ」
「嫌な訳ないじゃん!」

ポケットに戻されそうになった手を慌ててガッチリ両手で掴む私。
滅多にない優しさに、私、感動!

「え…へへっ。しあわせ!」

笑った私に、彼は素っ気なく「あっそ」と答えただけだったけど、微笑(やっぱり滅多に見れない)したのを見れたので、ますます私は嬉しくなった。

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