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この調子でいくと、悠くんをどっちへ転ばせても僕の所には来ないだろう。

それならいっそ。

「悠くん。結論を出す前に、僕の話を聞いてくれるかな?」

「足立さんの…?」

「そう。僕、好きな人がいるって話をしたよね?」

僕は座っていた絨毯から立ち上がり、僕と悠くんを隔てる小さいテーブルを横へ押しやると、ソファに座る悠くんの前に行き、目線を合わせるように屈み込む。

「さっき悠くんは、気になっている人が大人だから釣り合わないって言ったね。僕が好きな人は、高校生なんだよ」

「え…そ、そう…なん、ですか…」

「まぁ、二十歳超えて高校生を好きになるのは初めてだけど。でも、釣り合わないとか思わないよ」

上半身を乗り出して、顔を更に近付けてみると、悠くんは一瞬目を見開いた後、薄く頬に赤みが射し、体を少し後退り俯いた。

やだなぁ、誰にでもそんな顔するの?
危なっかしいな、悠くんは。

「悠くんの恋の悩みを聞く、なんて言ったけどさ、本当は気になって仕方なかっただけなんだよ」

「気になる…?」

上半身は後退りながらも、少し顔を上げて聞き返すものだから、上目使いに僕を見る格好になっている悠くん。

あぁほら、その顔も危なっかしい。

「そう。悠くんの恋の悩みってどんなだろう?とか、悠くんの好きな人は誰なんだろう?とか。自分の好きな人が誰を好きなんだろうって、気になるじゃない?」

「…………え?」

少しの沈黙の後、悠くんは呆けた顔をしてその一言だけを口から零した。

「僕は悠くんが好きなんだよ」

それだけ言うと、膝に着いていた片手をソファの背もたれに着き、もう片手を悠くんの手の甲に乗せる。

あと数センチ身を乗り出したら唇がくっつきそうな位まで顔の距離が縮まった。

「ぁ…だち、さっ…」

ますます頬を赤く染める悠くんは、抵抗する素振りも見せず、ただ目を見開いていた。
この状況に頭の回転が追いついていないみたいだ。
僕にとっては好都合な状況だけど。

「抵抗しないの?このままキスしちゃうよ?」

「ぇ…、あ、えと…んっ…む!」

抵抗する隙も与えず、予告通り身を乗り出すと、悠くんの柔らかな唇の感触が僕の唇に伝わった。

「んっ、んぅ!」

遅れるように悠くんの片手が胸の辺りをやんわり押し返してくる。
抵抗にしては弱すぎるんじゃない?

構わず続け、唇の感触を楽しんでいるうちに、押し返していたはずの悠くんの手から力が抜けていく。

あれ、何これ?
どんどん続けちゃっていいの?

「ん…ぅ、はっ…」

悠くんの声が明らかに変わってきている事に気付き、合わせていただけの唇を少しだけ離して舌で悠くんの下唇をなぞってみる。

「ん…ぁ」

それだけで悠くんの唇が薄く開かれ、そこから舌をねじ込んでみる。

「ふ、ぁ…らち、さ…!」

ヒクリと揺れた体と、胸元に置かれていた悠くんの指先が緩めていたネクタイとシャツを掴んだだけで、抵抗なんて無かったに等しいくらい、すんなりと舌を差し入れられた。

ソファに膝を着いて、悠くんの手の甲に乗せていた手を離し、その手で悠くんの顎を少し上げると、口内を貪るように舌でかき回す。

もしかしたら噛まれるかも、という考えはすぐに消えた。
悠くんの舌もおずおずと僕に絡みついてきたから。

「ふぁ…んっ、ぁ、んむ…」

なんなのこの子。
もしかして────?




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あきゅろす。
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