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**κ**



気付けば会話はなくて

気付けば嗅ぎ慣れない
香水の香り

強がって別れたけど

寂しくて

悲しくて

辛くて

本当は離れたくなんかなかった

そう言えば

仁は無視して

他の女性と歩いて行ってしまった。

そんな夢を見て

目が覚めると、仁がいた。



仁は泣いていた。




如何泣くの?



そう心の中で呟いたつもりだったけど、
ハッキリと口が紡いでいた。



「ばぁーか。あくびだよあくび。」



あくびで溢れる程

涙は出ないよ。



「なぁ、亀。」


伏し目がちに仁が喋った


「…何?」

「ぴぃのことさぁ、……」


長い沈黙



聞き返そうとしたとき。


「まじで好きなの?」

「っ、」


なんだかえぐられた感じがした。



なんで?


そんな事聞かないで。


関係ないじゃん。




「っ……そ、ぅだょ。」



上手く喋れない。



「そっか…」



仁は下を向いて、少し息を吐きながら言った。


なんで、仁が辛そうな顔するんだよ…。




「もう帰るから支度して下降りてこいよ(笑)皆待ってるから…」




ポンポン




頭を二回、軽く叩かれた




仁が席を立って部屋を出ようとする。




やっぱり俺、




















仁がまだ好き。













忘れられなかった。




忘れたくなかった。



仁の手の温もりとか




背中の大きさとか




柔らかい口唇の感触。




忘れたことなんて




なかった。





如何、泣いてたの?



如何、そんなに辛い顔すんの?




もし仁が同じ気持ちなら




呼び止めなくちゃ。




好きだって云わなくちゃ



仁が、ドアノブに手を掛けた。




「っ山Pのこと!」

「っ…!」




.

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