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―カシャッ



「?」


カメラのシャッターがおりる音がして振り向いた。


「ぁ‥ごめん。なんか、あまりにも絵になってたから…。」

「ぁ‥赤西さん…」

「えっ、何で俺の名前しってんの?」

「あ…」


しまった。
墓穴掘った…。


「あ、ひょっとして幼稚園の隣の病院に入院してる?」

「ぇ…なんで?」

「あの車椅子…君のかなって」

「ぁ…っうぅん。俺、幼稚園の近くに住んでて…」


何で嘘なんか付いたんだろう…。


「そっか…。金木犀、好き?」

「ぇ‥あ、うん。花も匂いも大好き」

「俺も。なんか、匂いがさ‥全部包んでくれるような感じで、優しい気持ちになれるような…」

「なんか、赤西さんと俺似てますね。」

「仁」

「ぇ‥?」

「赤西仁。俺の名前。なんか、赤西さんって呼ばれなれてないから仁でいいよ」

「仁…。あっ、俺亀梨和也。」

「じゃあ〜亀でいい?」

「うん(^ー^)」

「亀、よくここ来るの?」

「ぁ‥うぅん。年に1回、金木犀見に…。」

「じゃあ約束」

「約束?」

「来年の今日のこの時間にまた金木犀一緒に見よう?」


そういうと仁は小指を俺に突き出してきた。


「うん…わかった」


そういうと指切りで約束を交わし、俺達は帰った。



それから4ヶ月後。




俺は2回発作を起こして、死んだ。




1回目の発作が起きて、奇跡的に助かったとき、せめて仁との約束の日まではもってほしいって思ってたけど、俺の願いは叶わなかった。


だけど、死ぬ間際思ったんだ。


お父さんとの約束を破ってしまった分、もしも願いが叶うなら、仁に会わせて下さいって。




そして、
目が覚めたときには
金木犀の木に寄り掛かって座っていた。


あぁ…、最期のチャンスをくれたんだ。

って、直感で思った。


すると向こうから、人が歩いて来て、俺を見るなり笑顔になって走り出した。

俺は立ち上がって、

同じように

笑顔で手を振った

金木犀の

甘い香りに

包まれながら…。




END

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