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「…お前、此処に存在する意味あるよ…?」

「…“ナニ?”」

「だって…お前死んじゃったら‥俺悲しいよ。嫌だよ。」

「っん゙ナ…」

「っ何?」

「なっ…ァグッ‥かっな…ぃ‥え?」


“泣かないで”


そう言った。

初めて亀が、自分から喋った。


「じゃあもう意味ないとか…生きてても死んでも同じとか‥‥いうな。」

「ぅん…。」

「俺…亀のこと好き。…愛してる。」

「っ…」

「亀は…?」

「…っき」

「ん?」


亀の口元に耳を近づけた

吐息だけで紡ぐ

“愛してる”は、

切なく悲しく

俺の耳に届いた。


「“眠い…”」


今度は手話をしだした。
基本的な手話ぐらいならわかる。

ベンチに腰をおろすと、亀は俺にカラダを預けてきた。


「あっ。かめかめ〜、見て、羊雲。あれ?鱗雲?どっちだっけ?笑」

「“どっちでもいい…”」

「だよなっ笑」


ちょんちょん。


服の裾を引っ張ってきた


「ん?っ」


甘い金木犀の香り。


気のせいかな?

切ない音を奏(た)てて
口唇は離された。

顔が熱くなるのを感じて
思わずそっぽを向いてしまった。


「っ//…ははっ(笑)俺小学生かよ(笑)」


コテンと亀が体を俺に預けてきた。


フワッと香った

金木犀の香り。

「…亀?俺ね?金木犀の香り好きなんだ。
…甘くて儚くて‥亀みたい。…それに…亀と出逢ったのも金木犀の木の下だったよな………っ亀?」












亀はそこにいなかった。




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