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カチカチと
静かに時計の刻む音と、
近くにある海のさざ波が聞こえる。
もう少しで、
俺、桐谷修二は18回目の誕生日を迎えようとしている。
ホントは、
横に
草野彰というとにかく煩いヤツがいるはずなんだけど……
『草野、今日うち来んだろ?』
『狽ヘぅっ!しゅーじゴメンっ!今日おいちゃん寝込んじゃってて帰んなきゃいけないナリ〜!だから本当ごめんちゃいっ!;;』
『あぁ…そっか。じゃあおいちゃんによろしく』
『まかしとけってんだぁ〜い!』
そう言ってフラフラ自転車こぎながら帰ってった。
ヤバイ。
ヤバイぞ。
今物凄く寂しい。
どうしよう。
俺
泣きそうだ……。
「彰のバカ……」
呟いたら
なんだか
目の奥がツンとした
ふと時計を見れば、
11時59分
「もう寝よう…」
おやすみ俺。
“おめでとう”
その第一声は
どうやら浩二か父さんになりそうだ。
そんなの当たり前だったのに、
今はもう
当たり前じゃなくなってて、
寂しいなぁ
なんて思ってしまっている自分がいた。
でも彰のことだから
明日の朝にでも祝ってくれそうだ。
でも、
“おめでとう”
って、
一番最初に言ってほしかったな…。
気付くと自分が乙女思考になってて、フッと自分を鼻で笑って寝ようとしたその時、
ヒュルルルルゥ〜…
パンッ!!
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