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鳳凰の宮学園
rento 空虚


イライラする。



無性に怒りが沸いてくる。



何に対してだ?



昨日から調子が狂いっぱなしだ。



俺の人生、今まで生きてきて思い通りにならないことは一つも無かった。



実家は金が有り余るほどあったし、ルックスも良いし頭も良い。



ただ、勉強より遊んでる方が楽しかったから、敢えてしなかった。



学園に入ってからは、男も女も関係なく抱いた。

親衛隊とか出来てからは、sexには不自由しなかったし。

欲求の赴くままに性欲を処理できた。



なのに、そんな今までの俺の人生が全くの空虚だったことに気付いた。



柊木 領。



あいつには、俺なんてただの変態にしか映ってないんだ。



カッコ良いとか、憧れの目で見ることもない。

かと言って恐がったりもしない。



普通に接してくる。



本当に平凡な奴なのに、ふとした仕種が凄く可愛くて、思わず見とれてしまう。



俺は、男や女を抱いてたけど好きになってヤったことは一度もねぇ。



むしろ、媚を売ってくる奴等に憎悪さえ感じたような気がする。



チキショー。



部屋に戻りたい。



柊木を見たいし、喋りたい。



また、一緒に茶飲みてぇ。



だけど、拒絶されたら?



さっきみたいに背中を向けられたら?



「はぁ。」



溜め息を漏らしてから俯いた。

そんな俺に、気の利かねぇ言葉を吐く奴がいる。



中学から付き合いのある、日下部 恭一。



俺と同じくイケメンで、やれば出来る奴なのに、やらねぇとこが気に入ってる。

表には出ない副参謀タイプだ。

要するに底意地が悪い。

だからといって陰険な訳ではなくて、サバサバしてる。



「蓮人、お前の親衛隊が騒いでるぞ♪」



「はぁ?興味ねぇよ。」



「あっ、そう♪」



声が弾んでいたので、恭一をチラッと見る。

なんか楽しそうだ。



「親衛隊が何騒いでるんだ?」



恭一はニコニコしてから、思いもかけない言葉を吐いた。



「お前と同室の奴を襲っちゃうらしいぜ。転校早々可哀想な奴だな。」



ガタッ!



「なんだって?」



恭一は雑誌を読みながら。



「昨日、お前と寝た奴が『久我山様が平凡な奴と同室だから汚れる』とか言って親衛隊の仲間に言い触らしてるらしいぜ。」



「馬鹿馬鹿しい!そいつ何処に居るんだ?シメてやる!」



俺は居場所を聞いてから全力で走って向かった。





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あきゅろす。
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