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鳳凰の宮学園
tatsuya 生徒会室


生徒会室。

絢爛豪華な執務室で1人いる生徒会長・鳳 龍弥は月末に行われる選挙の仕事で追われていた。



現・生徒会メンバーは勤勉な生徒の集まりだったので仕事が捗ってはいたが、同時に引き継ぎもしなければならないので身の回りの整理も行っていた。



「後少しで、此処ともお別れだな。」



自嘲気味にそう言うと寂しさのような、開放される安堵のような、心許ない気持ちが押し寄せて来た。



だが・・・



後3ヶ月で高等部に上がる嬉しさもある。



柊木 領と同じ高校生になれる。



今までは兄がいるから別の高校に通おうと考えたりもしたが。



昨日からは違う。



どんな試練が待っているとしても、領が居てくれるなら耐えられそうな気がする。



不思議だ。



まだ何も領のことを知らないのに、どうしてこんな風に思えるんだろう。



傍にいて笑っていてほしい。



俺だけを見てほしい。



相手は俺と同じ男なのに、可愛くて仕方がない。



ガンガンガン!



物思いに耽っていると、扉を殴り付ける音がしてきた。



「はぁ。」



生徒会長の執務室を乱暴に殴る奴は1人しかいない。



如月 晄。

生徒会の副会長だ。



「龍弥、オッハよー!」



「今、何時だと思ってる?4時だぞ。」



「てへ♪」



俺は無視して、机にある書類に目を通した。


「無視すんなよぉー!可哀想だろう、晄ちゃんが!」



辟易していたが晄の様子がいつもと違い、まろやかだったので気になって聞いてみた。



「何か良いことでもあったのか?」



晄は口元をニカッとさせてから言い出した。



「良いことっていうか、面白そうな先輩に会ってね。」



面白そうな先輩?

抱く対象じゃなさそうだな。



「で。」



俺は晄を促した。



「とても年上には見えなくてさぁ。しかもパッと見、可愛くないし、でも何て言うか食べちゃいたくなるんだよな。」



「へぇ。」



俺は何となく胸騒ぎがしたが努めて冷静に装った。



「そうだ、転校生って言ってたなぁ。」



俺は晄を凝視した。



「コンビニ行くって言ってたんだけど迷わずに行けたかなぁ。どんくさそうだっ、ん?」



バタンッ。



「ありゃあ?どうしたんだ?」



ツカツカと歩きながら俺は急いで高等部に向かった。



美形にしか興味の無い晄にまで好かれるとは。



ゆっくりなんてしてられない!



領は俺のだ!





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