鳳凰の宮学園
風紀委員 2
検査を待っていると、前の方が段々と少なくなってきていた。
そして寮長は僕を置いてきぼりにして、ズンズンと前を歩いて行った。
「和唯ぃー!」
一瞬で周囲の喧騒が止んで、人だかりが開いて行き、寮長が通る道が出来ていった。
「徳平さん、おはようございます。」
「オハよーさん。寒いのに朝から大変だなぁ。」
「仕事ですから。」
周りを囲んでいる生徒達は、息を呑んで2人の様子を見つめていた。
「すてきぃ!」
「立ってるだけで絵になるよね♪」
「徳平様格好良すぎぃ!」
わぁ!
やっぱり寮長って格好良いいから、憧れる人が多いんだぁ!
僕もその内の1人なんだけどね♪
僕がニコニコして立っていると、寮長が僕を呼んだ。
「柊木、何してるんだ?早く来いよ!」
「あ、はい。」
僕が寮長の為に開かれた道を歩いて行くと、周囲の奇異な視線を受けた。
「誰だ、あの地味な奴は?」
「徳平様とどんな関係なの?」
寮長の側に来ると、再び静まって僕達の話しを固唾を呑んで聞いていた。
「和唯、今学期から転入してきた柊木 領だ。宜しく頼むな!」
「は、初めまして柊木 領です。よろしくお願いします。」
僕は深々とお辞儀して挨拶をした。
すると、和唯と呼ばれる風紀委員は僕を一瞥した。
美形だけど、細身でクールなイメージで、目が氷のように冷たく感じた。
「俺は高円寺 和唯。2年生だ。」
こ、怖い。
何か睨まれてる?
僕は背筋がゾクッとした。
「オイオイ和唯。怖がらせるなよ。ただでさえ無表情で無愛想なんだから。」
「これは仕方無いです。それより徳平さん、校則違反は無いようですので校内に入られて結構です。」
寮長は呆気にとられてから、高円寺さんを見た。
「そんなに邪険にするなよな。寂しいだろ。」
「邪険にはしていません。後がつかえていますので。」
寮長は仕方無いって感じで、息を吐き出してから僕を見て。
「行こうか。」
僕が頷いて歩き出そうとしたら、後ろから怒声が聞こえてきた。
「オラオラー、退け退けぇ、結城様が通るんだ!道を開けやがれぇ。」
まるで何処かの時代劇のようなセリフに僕は笑ってしまいそうになった。
「おー!結城だ。朝から登校とは珍しいじゃねぇか。」
口笛を吹きながら寮長は声に出して言った。
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