鳳凰の宮学園
視線 2
久我山は微笑んでいたけど、急に目がトロンとしてきて、欠伸をした。
「柊木、俺、眠くなってきたから寝るわ。1人で学校行けるか?」
「え?う、うん。行けるよ。」
久我山は申し訳なさそうに言い、それから付け加えた。
「親衛隊はお前に手出しはして来ないから襲われることはない。だけど御菓子くれるからって怪しい奴に着いて行くんじゃねぇぞ。」
「うん。」
・・・ん?
御菓子をくれる。
・・・!
ボワッ!!
僕は久我山の言葉に顔から火が出た。
「久我山!僕、小学生じゃないんだから!」
僕が怒って立ち上がると、久我山はお腹を抱えて笑いだした。
「ハハハ。お前って最高に面白ぇ♪」
僕は仁王立ちをして久我山を睨みつけ、大声で言った。
「それじゃあ僕、学校に行くから!」
「おお♪気を付けて行ってこいよ!」
僕はバタンッと大きな音をたててドアを閉めた。
あ〜、全く腹がたつ!
僕を子供扱いしちゃって。
本当に久我山って、ムカつく!
怒りながら廊下をドカドカと歩いていたら、あることに気が付いて、ピタッと止まった。
もしかして、久我山の奴、一晩中起きてたのかな?
まさか、ね。
寮を出て学園に続く道に着くと、生徒達がパラパラといた。
部屋を出るのが遅くなっちゃったからな。
早く行かなきゃ。
少し急いで歩き始めていると、後ろから誰かに呼び止められた。
「おーい、柊木!」
振り返って見るとそこには寮長がいた。
「寮長、おはようございます。」
「オハよー。昨日は大変だったな。怪我はなかったのか?」
「はい。ご心配おかけしました。」
僕はペコッと頭を下げた。
その際に寮長は僕の頬に触れてから、抱き締めてきた。
「柊木、今度何かあったら・・・いや、いつでも俺に頼れよ。」
「は、はい。ありがとうございます。」
僕は寮長の優しい言葉に嬉しくなって笑顔で答えた。
そうすると寮長は僕の髪の毛をクシャッとしてきて頬笑んだ。
「ん。いい笑顔だな。学校へ行こうか。」
「はい!」
僕と寮長は並んで歩き出した。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!