鳳凰の宮学園
鳳凰の入口 3
龍弥先輩は、とても親切で気さくな人だった。名前も龍弥って呼んでくれていいぜ、俺も領って呼ぶから。って言ってくれたし。
学園への入りかたも教えてくれた。僕が見たお城のような門の隣に勝手口があって、そこに備え付けられているチャイムを鳴らすと管理人が応答してくれるとの事だった。
龍弥先輩のように学園の生徒の中でも、生徒会役員はカードキーを持っているので自由に出入り出来るらしい。
「よし、開いたぞ」
「は、はい!」
僕は学園の中に入って行った。そしてその景色にびっくりした。
だってまるで森が、目の前にあるんだ!昔本で読んだお伽の国のような。きちんと手入れはされてるみたいだし、まさか学校に魔女とか狼はいないだろうけど・・・。
それにしても雪が木々に覆い被さっていて幻想的な雰囲気を醸し出している。
「すごい、綺麗」
思わず僕が声を漏らすと龍弥先輩が笑った。
「そう言ってもらえると、ひい祖父ちゃんも喜ぶ。」
「ひい祖父ちゃん?」
僕は見上げて先輩を見た。笑った顔がやんちゃな子供みたいで可愛らしい。
「うん。ここの庭師なんだ。」
うわぁ。先輩の事をひとつ知れて何かラッキーだなぁ。嬉しい。
しばらく歩いて行くと木のプレートが見えてきた。
右向きに矢印されてるプレートには
『 中等部 』
左向きのプレートには
『 高等部 』
この学園には中等部も併設されているんだ。だから全校の人数が揃うと1000人はいるらしい。男子ばっかり。きっとムサい男連中が多いんだろうな。うーん流石にそう考えると帰りたくなってきた。
僕は高等部のある、左方向に向かって歩き出そうとした。そしたら龍弥先輩が慌て、声を掛けた。
「領、中等部はこっちだぜ。」
「・・えっ?」
僕は目が点になった。龍弥先輩!いくら僕がチビでも中学生と間違うなんて。ぐすん。心の中で泣きながら告白した。
「僕、高1です。」
僕がそう言うと龍弥先輩は驚いた様子で。
「嘘だろ!?」
「本当です。」
龍弥先輩は僕をまじまじと見つめた。
そんなに中学生っぽいかなぁ。僕は真っ赤になって俯いた。すると龍弥先輩がびっくりするような事を言った。
「俺、中3。」
「う、嘘でしょう?」
僕達はお互いに見つめあった。
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