鳳凰の宮学園
コンビニ 1
道に迷った・・・?
確か外に出るにはこの1本道のはず、なのに。
僕は頭を抱えた。
思えば・・・。
寮長の部屋を出て、一目散に走っていたから1本道を外れたのかも。
寮長があんな冗談を真顔で言うから、体がむず痒くなって勝手に足が動いていたんだ。
男前なのにからかうのが好きなんて趣味が悪いよぉ。
はぁ。
頭も足も疲れて来ちゃった。
足を止めてひと休みしていたら、林の中からガサガサと音がした。
な、なんの音ー!?
まさか、熊とかいるわけじゃないよね?
今の季節冬眠中だけど・・・。
ザザッー!
林の中から出てきたのは、茶髪で目付きの鋭い恐そうな人だった。
あっ、目があった。
ふ、不良だ!
逃げたいけど足が震えて動かない。
茶髪の不良が腕をあげたのを見て、僕は目を瞑った。
殴られる!
ん?
いつまで経っても殴って来ないので、僕は瞼をうっすらと開けてみた。
すると茶髪の男の顔が目の前にあった。
「うわぁー!」
僕はびっくりして、とんでもない声が出てしまった。
茶髪男はケタケタ笑って、愛想良く話しかけてきた。
「何でこんなトコに入るのぉ?」
僕は茶髪男の間延びした話し方に何だか力が抜けて、素直に喋りだした。
「コ、コンビニに行こうと寮を出たら、道に迷ってしまって・・・。」
「寮?中等部から?かなりの距離を歩いたんだなぁ!偉いぞ♪」
茶髪男は僕の髪をワシャワシャして誉めてくれた・・・。
「ち、違います!高等部の1年です。」
茶髪男は目を真ん丸にしてから、手を僕の頭に乗せてから自分の肩に持っていき身長差を示した。
「うっそぉー!こんなにチビなのに俺より1コ上なのぉ?シンジラレな〜い!」
今度は僕が目を真ん丸にした。
この大きい茶髪男が、中等部?
どうして最近の中学生は発育が速いんだろう?
龍弥君も大きかったし。
僕も早く身長が伸びて欲しいなぁ。
「んで、高等部から何で迷うのぉ?1本道なのにぃ?」
「あ、あの考え事をして歩いていたら、いつの間にか迷っちゃってて。」
「あー!そうなんだ?じゃあ僕ちゃんが連れてってあげますからねぇ。手つなごぉ♪」
中等部の茶髪男に子供扱いされてるぅ〜。
悲しいけど、この場所から元の道に戻ることを考えると、彼は必要だ。
仕方ない。
僕は手を繋いだ。
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