鳳凰の宮学園 寮長 3 「そう言えば、外出するんだったな?何処に行くんだ?」 寮長が部屋にカードキーを挿し込みながら聞いてきた。 「あの、コンビニに行きたくて。」 寮長は僕を見てから、笑い出した。 「あはは!柊木、お前可愛い奴だなぁ!コンビニには急いで行く用事はないんだろう?俺の部屋に寄ってけよ。」 ウインクしながら寮長は言い、僕は好奇心がわいて部屋の中に入った。 寮長の部屋は広くて、応接室まで配備されていた。 そしてやはり豪華で、何処かの社長室みたいだった。 でも、人柄だろうか、簡潔にまとめられていて、嫌味がない。 寮長は戸棚に工具箱を終ってから僕を自分の部屋に通してくれて、その部屋に僕はビックリした。 だって法被が、色んな地域のお祭りの法被が壁中に飾られていたんだ。 わあー! 凄いなぁ! こんなに集めているなんて、寮長はお祭りが好きなんだ。 あっ、これは青森のだ、こっちは大阪の喧嘩祭りって言われてるのだ! 僕が部屋を不躾に見回していると、寮長が嬉しそうに言った。 「祭りが好きなんだ♪柊木、適当に座ってろ。何か飲むか?」 「え、あ、か、構わないで下さい。すぐに失礼しますから。」 遠慮がちに言うと、寮長は子供を見る親のような優しい眼差しを、僕に向けた。 「遠慮すんな、って言ってもオレンジジュースか牛乳しか無いけどなぁ。オレンジで良いか?」 「は、はい!」 寮長はジュースをコップに入れて、テーブルに置いてくれた。 「寒くないか?寮全体に暖房を入れてはいるんだが少し寒いだろ?俺が暑がりなもんだから、この温度で調節してるんだが。この部屋に来る奴は大抵寒いって言うからな、床暖房入れようか?」 「あ、その、お願いします。」 寮長は僕の頭をポンポンとしてから、部屋の隅にあるコードをコンセントに差し込みスイッチを入れてくれた。 さっきまで冷えていた足下が段々と温かくなってきて、体がポカポカしてきた。 「ありがとうございました。」 お礼を言うと、寮長は頬杖をつきながら僕を見つめていた。 僕は寮長の視線に居たたまれなくなってうつ向いてしまう。 「あ、あのぉ?僕の顔に何か付いてますか?」 寮長はハッとして、頭を上げた。 「あぁ、すまない。柊木に魅入ってた。」 [*前へ][次へ#] [戻る] |