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鳳凰の宮学園
寮長 1


トントン。

トントントン。



誰も居ないのかなぁ?



どうしよう。

外出するには寮長の許可がいるって聞いたんだけど。

居ない場合はどうすれば。



僕は2階にある寮長室の前に佇んでいた。



「あっれぇ〜、柊木君じゃない?こんな所で何してるの?」



振り返ってみたら、管理人の本庄さんだった。
相変わらず綺麗な人だなぁ。
男にしておくのが勿体ないくらい。



「あ、あの外出したいんで寮長に許可を貰おうと来たんですけど。生憎出掛けてるようで・・・。」



本庄さんはクスクス笑いだした。



「柊木君は真面目だね。」



「は、はあ〜。」



「外出なら寮長の許可無しでも大丈夫だよ。但し外出標を各自の部屋からパソコンで寮長にメールしなきゃいけないけどね。でも、大抵の生徒は黙って出掛けるよ。」



「そうなんですか。じゃあ、早速メールします。本庄さんありがとうございました。」



僕は本庄さんに深々とお辞儀をして、部屋に戻ろうとした。



「柊木君ちょっと待って!」



僕はピタッと止まって振り向いた。



そうしたら本庄さんは人の良さそうな笑顔をして僕に近寄って来た。



「同室の久我山君とは上手くやって行けそう?」



うっ、上手く?

む、無理かも。

でも本庄さんに心配かけるのは申し訳ないような。



「上手くやって行きます!」



握りこぶしを突き上げてから、政治家の決意表明みたいに力強く言った。



本庄さんは一瞬口を開けて放心していたが、またクスクス笑って。



「彼、久我山君は見掛けや言動に少し問題があるけど、とても良い奴なんだ。迷惑をかけると思うけど彼をよろしく頼むよ。」



言うなり本庄さんは笑顔で去って行った。



た、頼まれてしまった?
本庄さん、久我山に迷惑かけられるのは嫌なんですけど〜。



ふと、本庄さんと久我山って仲が良いのかな?なんて考えてしまった。



最初に本庄さんと出会った時から、意味ありげな笑顔を向けられていたような。
僕が物思いに耽っていると。



「オイッ、そこのお前!俺の部屋の前で何突っ立ってんだ?」


とっても低い、機嫌の悪そうな声が頭上から聞こえてきた。



「あっ、す、すいませんでした。」



振り向き様、顔を見ずに頭を下げて謝った。

こういう声の出しかたをする人は、おそらく、間違いなく、不良だと思ったからだ。







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