鳳凰の宮学園
ランチ 2
僕は目をパチクリさせて一之瀬君を見た。
「急にどうしたの?何で安藤先輩に近付いちゃいけないの?」
怖そうな人だったけれど。
悪い人なのかな?
一之瀬君はとまどったように首を下げてから唸るような声を出した。
「安藤先輩は雑食喰いだから・・・。」
はぁ?
雑食喰い?
一之瀬君は何を言ってるんだろう?
さっきの安藤先輩は変な食べ物が好きなの?
解んないや。
僕が呆けていると、一之瀬君は真剣な眼差しを僕に向けて、肩を掴む手に力を込めた。
「領、安藤先輩は・・・わっ!?イテッ!誰だっ?」
一之瀬君の背中めがけて河上君が蹴りを入れてきたんだ。
しかも高く綺麗な飛び蹴り。
「な、何すんだよ翔平!痛いじゃないか!」
「ウルせぇよ!領、こんなやらしい奴ほっといて行こうぜ。」
河上君はめちゃくちゃ怒っている。
「や、やらしいって何だよ?翔平?」
一之瀬君はワケが解らないって顔をして、河上君に文句を言った。
河上君は一之瀬君の胸ぐらを掴んでから、怒鳴った。
「お前、領に迫ってたじゃないか!」
「「せ、せまるぅ?」」
僕と一之瀬君は、河上君の言った言葉が解らなくて、河上君を見つめた。
「良介が領の肩をもってだな・・・ゴニョゴニョ。」
一之瀬君は河上君の発言を理解したらしくて爆笑した。
「何で笑うんだよ?お前が・・・!」
「ガハハハ、翔平、お前の勘違いだよ!俺がそんなことする訳ないだろ!」
河上君は憮然とした表情のままで一之瀬君を睨んでいた。
僕はさっぱり理解出来ずに傍に立っていた。
「翔平、実はさっき領が安藤先輩に捕まってたんだよ。だから注意しようとしてたんだ。」
河上君は口を大きく開けて一之瀬君を見ていた。
「しっかし傍目からは、オレが領に告白してるように見えたのかな?プハハハ!」
こ、告白?
一之瀬君が僕に?
あはは。
男同士でそんなことあるわけ無いのに。
河上君って本当に面白い。
当の河上君は自分の間違いに気付いて、耳まで真っ赤になっていた。
「翔平、今日の昼飯はお前の奢りだな。ラッキー!」
一之瀬君は上機嫌で河上君の肩に手を回した。
河上君は居心地が悪そうだ。
フフ。
誤解が解けたようで良かった。
やっぱり二人には仲良くいて欲しいもの。
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