鳳凰の宮学園
久我山 蓮人 4
久我山はショックを受けたみたいに呆然としていた。
でも、変態!って言った言葉は訂正しないから。
僕の方がショックなんだ。
久我山の事、見直し始めてたのに。
「悪ぃ。俺、そんなつもりじゃあ・・・。」
「じゃあ、どんなつもりだったの?」
僕は見構えた。
久我山にとっては、僕なんて相手にならないだろうけど。
僕も男だ!
少しは抵抗出来る!
・・・はずだ!
「悪ぃ・・・。その、なんだ、つい癖で。」
久我山は、見るからにショボンと小さくなっていった。
うっ。
本当に子犬みたい。
例えるならば、ヨークシャー・テリア。
フサフサのストレートの髪が顔にかかって可愛い。
そんな様子はとても不良には見えない。
僕は自分が悪いような気になって久我山に謝った。
「久我山、ごめん。言い過ぎたかも。」
「えっ?お前が謝るこたぁねぇよ。」
久我山があわてて僕に言った。
そして溜め息を吐いた。
「俺、今まで・・・他人に嫌われた事ないから、昨日はマジでショックだった。」
久我山は淡々と語っていった。
「しかも吐かれるぐらい。俺、いつも周りからカッコ良いだの美形だの、ちやほやされてたから、柊木みたいに敬遠されたの初めてだった。」
久我山・・・。
さりげなく自慢してるの?
「体つきもsexyだって言われるし、sexも凄く巧いって。不良だけど、人当たりも成績もいい。結構今まで思い通りに生きてきたんだ。」
なんか、段々ムカついてくるのはどうしてだろうか?
「今も指にキスしたら、大抵の奴は真っ赤になって俺に惚れるんだ。」
僕が据わった目で見ていると、久我山が頭を振った。
「珍しい奴だ。」
ははは・・・。
久我山の方が珍しい奴だと思うけど。
久我山はソファーにゆったりと腰をかけて、僕を見た。
「地味なんだよなぁ。」
うっ。
久我山、僕にケンカうってるのか?
「でも・・・。」
久我山は言いかけた言葉を引っ込めた。
僕は気になったけど、久我山の事だからロクでもない事を言いそうだったので、聞かなかった。
「久我山、コップを片付けてもいい?」
「あ?あぁ。」
久我山が何か言いたそうに僕を見つめていたけど、無視してコップを水洗いした。
洗剤が無かったのだ。
足りない物が多いなぁ。
よし!
後で買いに行こう!
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