鳳凰の宮学園
鳳凰の入口 2
僕は美形の笑顔に見とれながら、ゆっくりと近付いて行った。
彼の方を向いて歩いていたら、足元が雪に捕らわれた。
ドテッ・・・顔から転けた。
うっ。恥ずかしい。
急いで立ち上がろうとすると目の前に美形の手が差し伸べられた。
「大丈夫か?」
「は、はい。」
あったかい手だなぁ。そんなことを思いながら、彼の手をぎゅっと握って立ち上がった。
御礼を言おうとしたら目線が合わない。僕と彼との身長差が10センチはあるみたいで自然と見上げてしまう。
「ありがとうございます。」
僕はにっこり笑ってそう言った。
そうしたら彼も太陽のような笑顔で僕に返してくれた。その笑顔に僕はドキリとした。だって凄く可愛いんだ。先輩に可愛いは怒られるな。
「重そうな荷物だなぁ。お土産とか入ってるのか?」
しばらくキョトンとしたが、はっとした。彼は僕が冬休みに帰省してたんだと思ったみたいだ。
「僕、転校生なんです。」
彼が驚いたように僕を見た。
「転校生?」
彼は暫く考え込む。
「俺、聞いてねぇ。」
僕はまたキョトンとしてしまった。そんな僕を見て彼は頭をぼりっと掻いた。
「あーっと、俺、生徒会長だから。転校生の連絡とか入って来るんだけど、今回無かったからおかしいなーっと思ってな。」
僕はまじまじと彼を見た。美形な上に頭も良いんだ。きっと彼は人気があるんだろうなぁ。僕は心の底から感嘆の声を上げた。
「生徒会長されてるんですか。凄いですね!」
彼は頬を少し赤くした。照れてるようだ。本当に可愛い。
「荷物貸せよ。持ってやる」
唐突に言われ頭がまわらない間に、鞄をヒョイと持っていかれた。
「あ、あの、」
「さあ、行こうか。」
彼は鞄を肩に掛けて、僕を促した。
僕は彼に悪くて、鞄を取り戻そうともう一度声を掛けた。
「お、重いでしょ?僕、自分で持ちますから」
だけど彼は微笑んで、
「大したことないぜ。」
そう言って鞄を軽そうに扱った。彼は2、3歩足を踏み出した所で、何かを思い出したように僕を振り返った。
「俺、鳳 龍弥。よろしくな。」
「ぼ、僕は、柊木 領です。こちらこそ、よろしくお願いします。」
僕達は学園に向かって歩き出した。
そして僕はこれから始まる学園生活に胸がワクワクした。
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