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鳳凰の宮学園
朝 2


「お、おはよう龍弥君。良く眠れたよ。昨日はありがとう、とても助かったよ。」



僕は龍弥君に再び会えたことが嬉しくて、笑顔で言った。



「髪、濡れてる。乾かさずに寝たのか?」



「あっ、ううん。昨日は片付けが終わったら疲れちゃって、そのまま寝たんだ。お風呂に入ったのはさっきなんだよ。」



龍弥君は僕の髪を触りながら優しく言った。



「ちゃんと乾かさないと風邪ひくぞ。」



僕は龍弥君にドキドキした。



一つ一つの仕種が絵になるんだ。



「朝飯今からだろ?行こう。」



「う、うん。」



龍弥君はそう言うと僕の手をぎゅっと握って食堂とは反対に、寮を出て行こうとした。



「龍弥君、食堂はこっちだよ?」



僕がそう言ったら、龍弥君はニッと笑った。



「俺に着いてきて。」



何が何だか分からなかったが、コクっと頷いた。龍弥君てやんちゃな顔をすると可愛い。



龍弥君には言えないけど。



なんか弟ってこんな感じなのかなぁ。フフッ。



「どうかした?」



「ううん、何でもない。」



「そうだ、これ着ろよ。外は寒いから制服だけじゃ本当に風邪を引いてしまう。」



龍弥君は僕のためにダウンジャケットを脱いで貸してくれようとした。



「でも、それじゃあ龍弥君が・・・」



「俺は大丈夫!さっ!」



龍弥君に促されて羽織った。でも、ブカブカだった。



大人の服を子供が着たみたいに。



龍弥君が着ていると丈がお尻のあたりなんだけど、僕が着ると膝まである。



龍弥君はちょっと赤くなって笑みを漏らした。僕は恥ずかしくなって俯いた。



「・・・ゎい。」



「・・・え?」



龍弥君が何か言ったようだったから聞き返した。



「何でもない。フードも被れよ。」



そう言いながら被せてくれた。



そして二人で寮を出た。



雪道をしばらく歩くと洋館が見えてきた。



寮みたいに豪華ではなくて、この森みたいな庭にぴったりあった質素な建物だった。



「ここは?」



僕はこの洋館について龍弥君に聞いてみた。



「生徒会の寮。」



「・・・?生徒会?」



「そっ!さっ行こう!」



龍弥君は僕の手を引っ張って、洋館の中に入って行った。







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