味方がいない
「先輩、クッキー返して下さい!」
「駄目。」
「みゅゃー!」
「なんの鳴き声なのソレ。」
遡ること5分前、もうすぐ夕飯の時間だというのに、エルザはルーピン先輩から貰ったらしいクッキーの箱を開けようとしていた。そしてそのクッキーの箱を僕が没収した。どうにかして箱を取り返そうとするエルザと僕の押し問答が続いて今に至るわけである。
「クッキーくっきぃー!」
「もうすぐ夕飯なんだから我慢しなさい。」
「だって食べたいんですよーう!」
「だから駄目だって。いつもお菓子食べたら夕飯食べれなくなるのはどこの誰なの?」
「むぎー!ちゃんと食べますから!」
「だからダメだって。」
クッキーの箱を取り返そうとするエルザが取れないようにクッキーの箱を掲げる。この子はお菓子があるならご飯は食べなくて良いと考える子だ。絶対渡したらダメだ。
それでも取り返そうとエルザはぴょんぴょん飛ぶから大した執念だと思う。宿題に対してもそれだといいんだけどなあ。
はあ、とため息をついた時、がちゃりと談話室の扉が開く音がした。ハロルドとナルシッサ姉さんだ。少し変わった組み合わせだと思わなくもないけど丁度良かった、二人にもエルザを説得してもらおう。
「あっレギュラスがエルザちゃんをいじめてる!」
「まあレギュラス!私のエルザちゃんに何するの!」
「ハロルド、姉さん・・・」
違った、僕が間違ってた。
味方がいない
20090606 安藤ナツ
U子さまへ!
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