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仔獅子ちゃんと仔獅子くん
タコのおじさんも負けてません(後)



「オレ様がナンバーワン♪ネムイはナンバーツー♪」

「......〜〜〜!!!」

(あーあ...)



ビーがとどめの一撃を放ったことでむすめがこれでもかとむすっと頬を膨らませる。
ダルイが苦笑いしたのはオレ同様、こうなったらもうむすめを止められない事を知っているからだ。



「......ママの方が可愛い!!強い!!かっこいい!!♪」

「ほう......なかなかいい韻を踏むじゃねーか!そんなに言うなら勝負するか?」

「する!!!」

「「イエー!!」」



本人がいないのに手合わせを勝手に決めたのもそうだが.........何よりもむすめがちゃっかりビーに影響され始めていることがオレの頭を痛くする。



「まあ......いいんじゃねーの?ネムイならもうすぐ戻ってくる頃だし......それに、若い衆のいい影響になる」



このご時世だ......ビーやネムイ程の手練れ同士の手合わせなどこうでもしないと見れるものじゃない。ダルイの意見は頷ける。



「パパ!パパ!」



それに初めてネムイの実力を見れる事に目をこれでもかと輝かせ「お願い」とこっちを見るむすめに......完全に折れた。



「.........ネムイにはオレから伝えておこう」

「決まりだな」

「「「わぁ〜〜〜い!!!」」」



(シー、お前丸くなったな)
(?何が?)
(......何でもねーよ)











「想定はしてたが......」

「......ハハっ」

「わぁ......お祭りみたい!」



演習場に来れば二人の手合わせを見ようと駆けつけた人々で賑わい、貴重な手合わせだからか天画を筆頭に取材陣が殺到している。

......それはいい。

問題なのは、何故かある即席のステージに立っているこの祭り騒ぎの元凶、ビー。しかも着流しを着ている。



「オレ様の新作演歌ラップを披露♪ネムイが来るまでしてやろう♪」

「ビー!忠告しておくが......"もう始まってる"ぞ」

「......オウ?」



忠告の意味が分かった時、ビーは閃光の如く突然ステージに現れた人物の蹴りをもろに喰らい、周囲は騒然とする。



「久しぶりに帰って来たと思ったら......また祭り騒ぎ〜...?」



だから言っただろ......もう始まってる、と。

ビーが吹っ飛んだのもそうだが、こちらにひらりと舞い降りた人物が誰だか分かった途端、観客達は更に騒がしくなった。



「......!!ママ!!」

「ただいま、私の可愛いお姫様〜!」



相変わらずの調子でネムイがむすめを抱き上げてその額にキスを一つ落とすとむすめは余程嬉しかったらしい。ぎゅっと抱きついて離れない。



「......オレ様に!いきなりのキックとは何様だ!?♪」

「何様も何も......シーがもう始まってるって言ったでしょ!っていうか人を呼んどいてその格好にコレは何なの、バカヤロ〜!コノヤロ〜!.........ま、相変わらずね、ビー」

「お前もな......ネムイ!」



いつも通りの挨拶をかわす二人を見てオレやダルイだけじゃなく、それをよく知る皆の頬が緩んだだろう。



「さ、むすめ......お父さんの所で見ててね」

「うん!」

「......さぁ〜て」



むすめがオレの元へ来たのを見届けたネムイの雰囲気が変わったことに気づいたのはオレとダルイ、そして相手のビーだけだ。



「......!!オレ様緩慢♪だがお前やる気満々!?♪」

「......言ったでしょ......もう始まってるって!待ったは無しだよ」



ネムイの姿がふと消えると、漸くビーもやる気になったらしい。

瞬く間に二人は激しい戦闘を始めてむすめや観客達の歓声が上がった。





タコのおじさんも負けてません





「.........。」



初めて見るネムイの実力とそれを平気で相手するビーに驚きのあまりただただ立ち尽くすむすめの頭を撫でた。





(ネムイもビーも凄いだろ?)
(うん...ママはやっぱり強くて可愛くて格好いい!)
(...けど、タコのおじさんも強いね!)

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あきゅろす。
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