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待ち続けた
※ED後



アイツが居ない世界なんて興味すらない


なぜだ。なぜ俺だけこの世界に帰ってきたんだ




あの日、俺は確かに死んだハズだった。音素、全てをアイツの身体の中に溶け込んだのがわかった
そして、一緒に世界を救った。筈だった

なのに、なぜ俺だけがこの世界に帰ってきたんだ


お前の居ない世界になってもう3年か




そして、俺がこの世界に戻って3年が経つんだな












「…なんだ?!」


ある朝、俺は身体の異変に気付き目が覚めた

身体に駆け巡る音素が目に見える程、浮き出ていた

実際には有り得ない事だ。そして同時に激しい頭痛に悩まされた


「  ―ッ シュ  !」


遠くから、消えかかった声が聞こえる気がした

聞き間違える訳ない。間違いなくアイツだ



音素は空気中で消えていき、頭痛も治まった。だがアレがなんだったのか、声の主が誰だったのか。原因はわかっていた






「ガイ!起きろ!行くぞ!」

「…なんだアッシュ、どうかしたのか」


まだ眠っていた、いや眠っていて当たり前の時間だ。俺はとりあえず急いでガイに準備をさせて、アルビオールを出させた
コイツが操縦免許を持ってて本当に助かった




「で、どこに行かれますか?アッシュ殿」

「タタル渓谷だ」

「…まさか!?」

「あぁ。そうだ。」

「…だが本当にそれが事実だとしても、確証はあるのか?」

「俺とアイツが持つ音素は同じだったんだ。これ以上の確証があるか。とにかく急げ」




アルビオールで目的地まで行くのにはさほど、時間はかからなかった


ガイはとりあえず俺だけを下ろして、他のメンバーを呼んでくると言って再びアルビオールを発進させていった






ここに来るのは3年振りだな


あの頃は状況を把握するのにも、アイツがいない事にも混乱した記憶がある




足を運ばせていくと、一面にセレニアの花畑。

俺がこの世界に戻って初めて見た光景がココだった

アイツがココに戻る核心はない。だが俺はそんな気がした





「早く戻ってこい。屑が」






ズンッ!!という頭痛と共に身体にまた異変が起きた


まただ。また音素が身体中から湧き出てきた


この原因はアイツの筈だ。


今回の頭痛はやけに重い。頭の上に物凄い重いのが乗っている様だ


「…くっ!!」

痛さのあまり、片膝を地面につけてしまい、ろくに目も開けられなかった



下手すれば意識も飛んでいきそうな勢いだ
こんな所で、アイツがまだ戻ってないこの世界で、消えてたまるか













アッシュ?



「!?」


確かに聞こえた。しかも近くで

俺と同じ声


「アッシュ!!!」


声がする方に目を向けると、そこにはアイツがいた




「ルーク」



この名前をもう一度言いたかった

この世界に帰ってきてから一度も言葉に発しなかった。発したくなかった






「夢、なんかじゃないよな。俺、戻って…きたんだよな」

「戻ってくるのが遅すぎるんだよ、屑」


俺は精一杯ルークを抱き寄せた


頭痛も気がつけば引いていた




3年という月日は長すぎた


コイツは全く変わっていなかった

髪も短いまま。服装も変わらない。身長も




「アッシュ、でかくなったな」

「お前が成長してないだけだ」

「なぁ、アッシュ」



俺は抱き寄せたコイツを見下げて、しっかりと見つめる。こんなに幸せだと思ったのは初めてかもしれない


「ただいま」

「おかえり、ルーク」




どちらからとは言わずに、唇を寄せた

久しぶりすぎる感触は2人にとって少し恥ずかしい気もした






お前が居なかった3年間

これからはお前がなかった分も一生、ずっと一緒だ


「愛してる。ルーク」












こうして、キムラスカには異例となる2人の公爵が誕生した






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