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お題SS小説
9000HIT企画第一段

まず9000HIT企画小説、
第一段目。

『友達紹介の恋愛』です。
これはパソコンより更新しているため携帯では見えにくいかもしれません。そしてSS小説の割りには長いかも。

携帯よりもパソコンで見ることをオススメします。




【―友達紹介の恋愛―】




「春香、こいつが俺の友達の遥」

兄が家に友達を連れてきた。普通兄が友達を連れてくるというのは、普通の事なのだろう。だが私の兄の場合は違うのだ。兄は妹の私を溺愛している(シスコンと世間では言うかもしれない。)17年間生きてきて私は兄の男友達というものに会ったことがない。

否、絶対兄には男友達はいるはずなのだが(彼女は連れてくる)、妹の私には会わせたくないらしい。しかし唯一、兄がコイツならと認めた男友達を今日連れてきた。17年間、彼氏なんていたことのない私が兄の初めて連れてきた男友達に緊張しないはずがない。

朝、「今日連れてくるから」と宣言されてから兄の友達が来るまでの3時間、私はドキドキしていた。それは私が人見知りである事と兄が連れてきても良いと思える人とはどんな人なのかと言う興味からだった。
だから、家の玄関がガチャリと鳴った時、私の鼓動はMAXだった。

「ただいまー。遥、俺の部屋に先に行ってて」

リビングに居たが玄関から兄に名前を呼ばれて文章に違和感を感じながらも玄関に出た。兄の部屋に行くには階段を上らなくてはいけないから。

「あれっ」
兄が不思議な声を出した。私は思わず玄関の方に顔を向けた。
「え?」
「どうした春香」
「今、部屋に行けってお兄ちゃんが…」
「いや、お前じゃなくて…っ」
「はじめまして」
視線が兄ではなく隣にいる兄の友達に移る。心臓の鼓動が速くなる。

「…は、じめまし…て」
「春香、コイツが俺の友達の遥」
兄の言葉を聞いてややこしいなと思った。しかし視線が兄の友達から逸らすことが出来ない。息が上手く出来ないのだ。

「遥です。ややこしい名前だけど宜しくね」
そう言って彼は靴を脱いだ。兄が私の顔を覗きこむ。
「どうした?熱っぽいのか?」
「ん、大丈夫」
「なら良いけど。じゃあ今お茶持っていくから春香に俺の部屋案内してもらって」
「了解」
そう彼が兄に言うと兄は満足そうに台所に入って行った。多分昨日私が作ったプリンが冷蔵庫で冷やされているから一緒に持っていくのだろう。
私はそんな事を考えながら兄の友達から視線を逸らし、
「じゃあ2階なので付いて来てください」
と言うと階段を上り始めた。
2段目に足をかけたとき名前を呼ばれた。
「春香ちゃん」
私が下にいる同じ名前の遥さんに顔を向けると階段を追い越された。
「俺が先に行っても良いかな」
「あっ、はい」
変わった人だなと思った。追い越されるときほのかに香水の匂いがしたが気にしないことにした。…心臓の鼓動はいっこうに鳴り止まない。
階段を上りきると遥さんが立っていて「ココ?」と部屋を指差していた。
「そこは私の部屋で、兄の部屋はその奥です」
となんとか言うと遥さんは優しく微笑んで手を伸ばしてきた。
手を伸ばされ私の右腕を捕まれるまでの動作がひどくゆっくりに感じて、私はブッラクホールに飲み込まれるかのように遥さんに吸い込まれた。
「ワンピース似合ってるね」
ただそれだけだった。それを耳元で何故か言われただけなのにあまりの声の色っぽさに心臓が止まるかのように、床が沈むかのような感覚に襲われた。


「着いたか〜?」
兄が階段の下から呑気に私達に声をかける。遥さんが「うん、着いたよ」と私の腕を掴んだまま言う。…この状況を兄が見たらどうなるんだろう。


「あのっ、」
「何?」
「また来れますか、遊びに」
「もちろん」

そう言うと遥さんは笑顔で静かに手を離してくれた。兄が丁度良く上に上がってきた。
私は兄に気づかれる前にすぐに自分の部屋に入った。鍵を急いでかけて自分の部屋のドアの前に座り込む。…止まったかと思った心臓が再び凄まじい速さで動き出した。


捕まれた右腕を見ると薄く赤い痕が出来ていた。


END.




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あきゅろす。
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