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お題SS小説
ループ(相互記念:のーちゃん)




空が青いなんて誰が言ったのだろう、
夕方になれば真っ赤になるし、
朝は白い空も広がるし、

青空なんて平均的例えでつまらない、
そもそもこの今見える目の前の空は、
他の人が見てる空の色と同じなのだろうか…と少し理系のように文句をつけて毒づいて屋上でおにぎりを一人もぐもぐと食べていた。

「紫の空ってみたことある?」

私に近づきながら山本先輩が笑顔で近づいて私のおにぎりを一つ奪った。
それは私が大事に取っておいた明太子のおにぎり。私はむすっとした顔で、顔を横に振っておにぎりをまた一口食べた。

「紫の空って青より短い波なのに散らばりやすくて見えないらしい。紫の空を見るには飛行機に乗ってたり山の上とかで、なんだって。」

「へー」

「でもさ、俺は飛行機にも乗ってないし山にも登ってないけど紫の空って存在してるし普通に見えてる気がするんだよ」

「ほー」

「紫って青紫も赤紫もあるしさ、空って一色じゃなくて三、四色の層になってるときだってあるだろ?」

「まあ、」

「人によっては青空でもさ、違う人によってはそれは青紫に見えたり、一概に青、とも限らないよな、神崎」

そういって先輩が私の明太子のおにぎりを一口で口の中に放り込んだ。

「先輩それ私のおにぎりなのに…でも青紫ってずるい表現ですよね、深い表現に見えて青とか紫とか言いきれないから青紫なんて表現しちゃうんでしょう、はっきりすれば良いのに…」

「んー、神崎って結構はっきりしてほしいタイプ?」

「なんか例えかたが曖昧なのって逃げてるみたいで嫌いなんです、同じものをみていてもみている人は違うんだから表現も見えかたも違うってのは理解できるんですけど…」

「神崎にはさ、この月はどう見えてるの?」

先輩が空を見ながら私に言うから、私も上を向くともう月が出始めていた。

「私には黄色い満月に見えます」

「俺にはこの満月が真っ赤に見えるんだよ」

「は?」

「見えない?血みたいに真っ赤で毒々しい満月…」

そう言われてもう一度空をみても真っ青か星一つない空に真っ黄色の大きな満月がどんと構えているようにしか見えない。真っ赤?そのような色はどこにも見当たらない…

「俺には真っ赤な今にも溢れて落ちてきそうな大きな満月が見えるよ、青い空に吸い込まれて溶け込みそう…」

不思議なことを先輩が言うもんだから、思わず怪訝そうな顔で先輩を見つめたら先輩がにっこり笑ってこっちを見ていた。

「見えない?神崎には紫の空」

「紫?見えないですよそんな、空」

風が強く吹いてきて、真夏なはずなのに真夏の夜がこんなに寒いのかという風が頬に当たる。

「神崎、今日なんで俺がお前をここに呼んだと思う?」

そう言って眼鏡越しのすきとおる瞳がこっちを見つめて口角を上げた。
視界がくるくると回って私は空を見上げた。














屋上で私はおにぎりを食べていた。
なぜだかいつもは後に取っておく大好きな明太子のおにぎりを私は先に手を伸ばしてもぐもぐと食べる。

空は雲一つない青くて美しい空で、上を向きながら風を感じているとガチャリと屋上のドアが空いた。

「お待たせ」

「待ってないです」

「待てよな少しは」

「私は今大事なお昼タイムですから」

そう言って明太子おにぎりをまた一口食べると先輩が近づいて私のシャケのおにぎりを奪った。

「あ、私のおにぎり」

「明太子好きなのに、おれ」

「私はもっと好きなんです」

「神崎いつも好きなのは最後に食べてるのに…」

「なんでか、今日だけ無性に明太子が先の気分で…でも、なんでなんだろう…」

「神崎って、紫の空ってみたことある?」

「え」












私はなぜか屋上にいた。
お昼をたべるには遅い、時計を見たらもう8時。でも両手に今日にぎったおにぎりを二つ持っていた。

ガチャリとドアが空いて男の人が入ってきた。

「神崎お待たせ」

「え、誰ですか?」

「…紫の空ってみたことある?」

「は?」













目を開けたら開放的な空間にいて、空が広がっていた。なにか頭の後ろに柔らかい何かを感じて、正面に見える空を見ながら私は横になっているのだと感じる。そして恐らくこの柔らかいのは誰かの腕なのだろう、

横を振り向くと案の定先輩がこちらを見ていた。

「なんで起こしてくれなかったんですか」

「神崎がおにぎり食べた後に気持ち良さそうに寝ていたから、」

「私、今までこわい夢をみていたのに…」

「どんな?」

「ずっと同じとこから進めない夢」

「それ、」

「ん?」

「今もだよ」

「え?」

「神崎、これも夢の中だよ」

「え」

そう言うと先輩は笑顔で私のおでこにキスをした。突然で私はまた目の前がくらくらと動き出した。

「満月の魔法

早く目がさめると良いね、神崎」

そう言って先輩が笑うと私はまた意識を失った。












「間もなく成田に着陸します。」











アナウンスが鳴った。
目が覚めた。




隣を見ると先輩が寝ていた。
「目さめた?さっきは綺麗だったね」
目をこすりながら先輩がこちらに微笑む。

「さっき?」

「空から見えたじゃん、紫のきれいな空」

「むらさき」

「そう、むらさき」

「せんぱい、」

「ここは夢の中?」

「どうしたんだ?神崎」

先輩が眠そうな声で優しく私の頭を撫でる。

「いや、なんでもないです」

「つかれたのかな?でも着いたよ」

優しくそう言うと私の腰のベルトを外して笑った。

「大丈夫、少し変な夢をみていたみたい」

「そうなの?でも神崎、




これはまだ夢の中だよ」




end


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あきゅろす。
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