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お題SS小説
バレンタイン小説







人々の浮かれだす様を見る。
…もうすぐバレンタイン。


でもまさか、
デパートのチョコ会場で、白木虎太郎を見るとは、思わなかった‥‥。



父と兄のチョコを買ってきてと母にお札を2枚渡され買いに来たが、まさか虎太郎に出会うとは……



私は無言で、虎太郎に近づくと背後から名前を呼んだ。


「白木虎太郎」

「ふえっ??」


空中を彷徨い、やっとの思いで私に視線をピントを合わせる。


「あああああ、相瀬!!」

ひどく驚いた虎太郎を見て、私の口角が上がる。

「なんで男がこんなとこで、チョコ買ってるわけ?

好きな男子でもいるのかな、虎太郎君??」


私が笑顔でちょんまげみたいに結んでる虎太郎の前髪を掴む。

「相瀬…いてぇよ、放せ…」


大きな二重で私をキッと睨む。…いつ見ても、キレ長目の私の顔より顔立ちが女っぽい。




「‥‥お客様、こちら商品になります」


店員さんが、チョコの入った紙袋を虎太郎に優しい営業スマイルで渡す。
無言で虎太郎がそれを受け取って、真っ赤な顔で私を睨む。私は顔をニヤニヤさせる。


「何処で話す?‥‥‥虎太郎ちゃん?」






「だから、付いてくんなよ。」

「いやいや、話そうよ、暇でしょ?」


「暇じゃねーよ。この後、バイトがあんの」


「あ、そのバイト先に好きな人がいるの??」


「‥‥っ、相瀬、お前なぁ。人をからかってそんなに面白いか?」


「面白いよ」

「‥‥!…お前には絶対教えてやんねぇから」


「なんでよ、教えてよー。可愛い虎太郎君の恋事情が私凄く知りたいっ」


「何が恋事情だ。俺は誰にも恋なんか…してねぇ」



「うわっ、嘘つくなし。私、虎太郎のこと、横からずっと見てたんだよ?

あんたの横顔はまじで恋してる横顔だった!」


「はっ?」


ボワッと、真っ白な肌が赤くなる虎太郎の様を見て、不覚にも女の私が可愛いなコイツ、と思ってしまった。

虎太郎が自分の持つ紙袋を見つめる。そして意を決したようにこっちを見た。



「相瀬」

「ん?」


「お前のその紙袋はなんなんだよ。お前だって、誰かにやんだろ」


「うへ?ああこれか。ん、まぁ」


「ふーん。お前は言わねぇのか。じゃあ俺も教えない」


少し語尾を強くして虎太郎がそっぽを向く。私は虎太郎の肩に手をおき揉み始めた。



「虎太郎君。本当に私のは、大した相手じゃないんだって。」


「‥‥」


「だから教えてよ、ね?」


「‥‥肩揉んだって、お前が教えなきゃ俺も言わねぇよ」


「じゃあ、虎太郎があげる人は片野先生ってことにするから」


「‥‥は?」


「虎太郎と片野先生って仲が良いし、‥‥あ、それとも宮本君?あんた前、あの子とバスケしてると楽しいって言ってたよね。」


「‥‥」


「ああ、それも違うのー?じゃあ誰‥‥ああ、岡島?!もしかして、キモ男の岡島??あんたって‥‥そういうのがタイプ??」


「‥‥ちげーよ。ただ、なんで皆、男なんだよ。」


「え、虎太郎が好きな人って男じゃないの?」


「お前、可愛い男子がチョコ買ってたらあげるのは男だ。って固定した推理をまず根本から取り消せ。」



「可愛い男子って自分で言うな虎太郎」

「うるせっ、あと言っておくけど、俺はそういう趣味じゃねぇ!!」


肩を揉む手を止める。
腕を組み始めた虎太郎が頭の上にいる私の顔を真上を見るように睨む。



これじゃあ、上目遣いだよ虎太郎‥‥



私がバッと肩から手を外して、虎太郎の隣に座ると虎太郎がこっちに顔を向けた。目が相変わらず睨んでるが全く恐くない。




「俺は女が好きだ。」


「突然だね」


「だから勘違いすんなよ」

「わかったわよ。だから誰なの?そのチョコをあげたくなる女の子は。」


「なんでお前に言わなきゃなんねーんだ」


「ここまで話しといて最後は言わないって人格を疑うよ虎太郎」



言え。というように、私が虎太郎の脇腹に手を伸ばすとコショコショと擽り始めた。



「‥‥っ、馬鹿やめろっ」

「早く言っちゃえよ」



「わかったから!はなせっ」



「はーい」



私が手を止めると、
バッと右手に持っていた紙袋が私の目の前に現れた。





「私か?」


ニヤニヤした顔でからかうつもりで笑ったが、次に見えた虎太郎の顔は今までの中で一番真っ赤なゆでだこみたいな顔だった。



「わりぃかよ、くそ」




「え‥‥本気で??」



「本気だよ。本気で好きじゃなきゃお前になんかやんねーだろ」



「何それ、とてもそれが愛の告白には聞こえないんだけど!?

‥‥まぁいいか」


私が虎太郎の紙袋を受け取ると、虎太郎が睨むように私の紙袋を見た。




「‥‥で、お前は誰にそれをあげんだ?」







‥‥なんだ、
ずっと気になってたのか







「父親と兄貴だよ。…虎太郎、安心した??」



「許さん」


「は?」


「血繋がってても、お前が他の男にやんのは嫌だ」


「は、何言っちゃってんの虎太郎。まじでウケ…」




る、を言う前に、
虎太郎にキスをされた。
口封じみたいなキス。





「お前、うるさいよ。」

「‥‥」



見事に黙ってしまった。
私の目は点だ。







「お前が家族でも他の男にあげんのが俺は嫌なの。




お前があげようとしてるチョコは全部俺がもらうから。



他の男にはやんなよ…?」






まだ私の彼氏でもないだろう。って茶かそうとして止めた。虎太郎が本当に男に見えた。





「早く俺の愛に気付けよお前」







そう言って、
ちょんまげみたいな前髪をほどいて、虎太郎が私の手から紙袋を奪った。




「じゃーな」




「………………」








ちょっと待て虎太郎。
母に私が殺される…!!





そんなことを一瞬でも思ったが右手に持つ虎太郎からの紙袋を見て、止めた。




END.







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あきゅろす。
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