そんなあるわけない※(弟/静雄) それは静雄がトイレにいっている間に事件は起きたようだった。 部屋へ戻ると先程まで借りてきたDVDを楽しげに見ていたはずの楓が、ベッドに腰かけうつ向いていた。 「楓、どうした」 見る主を失ったテレビを消し、静雄は楓の隣へ座る。具合でも悪く鳴ったのかと静雄が手を伸ばそうとしたその時。 楓が素早い動きで静雄を押し倒した。 「しず…」 楓の唇が静雄の首筋を撫でる。ちう、と吸い、跡を残していく。 ちょっと待った。何が起きているんだ。 押し返すこともせず、ただ考えていた静雄はテーブルの上に置かれていたチョコレートに目をやる。 まさか。 「アレ食ったか」 「ん…」 頬を上気させた楓がはにかみながら笑ったのをみて、静雄は大きなため息を付いた。 確かあのチョコレートにはワインが入ってたはずだ。 昔から楓はまるっきりアルコールが苦手ですぐ酔う。それだけならまだしも、まだしもだ。 「しず…好きだよ」 ちゅ、と静雄の唇に唇を合わせた。 ふわりとほのかにチョコレートの匂いと、ワインの味がする。 ため息をつき、静雄は覚悟を決めた。 楓を転がし、形勢を逆転させる。身体を押し付け、耳元で囁いた。 「俺も、」 好き。 こんな時でしか、言えない自分を酷く呪った。 楓の手が背中に回り、抱き締められる。同じように静雄も楓の細い首に赤い跡を残していく。白い肌に良く映えた。 「んっ…」 快感をやり過ごそうと身をよじるが、静雄の容赦ない愛撫に楓は喘いだ。 胸の先に舌を絡み付くように撫で、時折優しく噛むとびくりと身体を震わした。 「楓、」 腰を撫で楓の熱に触れると、すでに立ち上がり先走りで濡れていた。 「あっ、もっと、強くにぎ…てっ」 押し付けるように腰を揺らした。その姿に舌を打ち、静雄は楓自身を強く撫でる。裏筋の弱い部分を押せば、強く楓の指が背中に食い込んだ。 「あぁっ、んっ…いいっ」 目を合わせ、幸せそうに微笑む楓に理性が剥がされ、その濡れた手で素早く楓の蕾を開いていく。 楓の内壁が嬉しそうに指に食らい付く。 ―――楓とこういうことになったのは、13歳のころだった。 初めは、事故だった。あれは事故以外のなにものでもない、と静雄は思う。 静雄の家に置いてあったワインをジュースだと間違えて「変な味がする」とか言いながら、一気に楓はコップ一杯飲んでしまったのだ。 「身体が熱いよ」「しず、助けて」とか言いながら身体を寄せ抱きついてきて、若かった静雄は頭が真っ白になった。 熱を逃がしてやろうと楓自身に触れてやると、聞いたこともないような可愛い声で楓が鳴くのだ。 静雄もわけがわからなくなり、気が付けばと。 今考えても、ぞっとする。 あの時傍にいたのが自分でなかったら。 こうして楓に対する思いにも気付かなかっただろう。 指を増やして楓の泣きどころを攻めてやると、堪らないといったように背をそらし、目尻から涙を流した。 「もう、いいか?」 「んっ…、入れ、て」 指を抜き、ベッドの頭の方に隠してある避妊具をつけ、楓の入り口へと付ける。 そしてゆっくりと中へと侵入した。 「ん、相変わらず狭ぇな」 「あぁっ…しず、が…デカいだけ」 楓の言葉に、静雄は頬を緩ます。唇を合わせ、舌を絡ませた。時折楓の口から漏れる吐息に、静雄はだんだんと腰のスピードをあげていく。 楓も、静雄も、限界だという瞬間に二人は呟いた。 「しずっ」 「楓…っ」 楓がすやすやと静雄のベッドで寝始めたころ、静雄は携帯を取り出して電話をかけた。 『静雄じゃん、どした?』 「…椿さん」 カーテンで遮られている隣の住人へと静雄はかけていた。 「えと、楓今日うちに泊まってくんで」 『…なに、楓とヤったわけ?』 「………なんでわかるんすか」 『ばっか!カマかけただけだっつうの!なに正直に答えてんだよ!』 「…すいません」 『ムカつく!逆に謝られるとスゲームカつく』 「椿さん」 『…何だよ』 「…俺、楓が酔ってる時しか好きって言えないんすけど、どうしたら良いですか?」 『……どういうこと』 「………長くなりそうなんで、また食事のついでに相談させて下さい」 『おう、あんま悩むなよ?』 「はい」 切り終えた椿は携帯をテーブルに置き、首を傾げた。 「あいつら付き合って、るよな?」 まさか、アレで付き合ってないとか、あるわけ…。 あるわけ、ないよね? >>>アトノマツリ (ーωー)? (2010/03/11) [*前へ][次へ#] |