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俺もたいがい甘い方(弟/静雄)
うつらうつらと目が覚め、楓は意識が浮上する。

「楓、起きろ」

ぺちぺち頬を叩かれ目を開けると金色の髪が目に飛び込んできた。
おもむろに手を伸ばし、それを抱き締める。

「お、おい楓っ!」
「んぁ…、シズ、ちゃん?」

腕を緩めた隙に静雄は頭を上げ逃げた。

「ったく、今日来るっつったのにいくらたっても来ねぇから見にくりゃ…」

ベッドを揺らし静雄は楓の上にのし掛かった。

「何暢気に寝てんだよ」
「ぐぇ、…お重っ」

バタバタと静雄の下で苦しんでる姿を見て満足したのか、退けばへとりと楓はベッドに身を任せた。
ぜぇぜぇと荒い息を整え、呟く。

「シズのバカ、重い、死ぬかと思った」
「てめぇが悪い」
「うぅ……」

最もだけど…。確かに今日隣にある静雄の家へ帰ってすぐに行くと約束はしたのだ。楓だってそのつもりだった。静雄と別れて部屋で制服を脱いで着替え、借りてたCDなどをかき集めたまではよかった。
ただちょっとベッドに転がって、一瞬目を閉じたあたりから眠気が急激に襲い、そのままぐっすりと夢の中へと旅立ってしまったのだ。
気がつけばこんな状態で。

「しーずー」

ベッドを背もたれにして腰かけ、転がっていた雑誌を読み始めていた静雄を後ろから抱きついた。

「まじでごめんなさい」
「別に怒ってねぇよ」
「本当に?」
「あぁ」

良かった、と静雄の背に顔を埋めるとくしゃりと後ろ手に撫でられた。

(だいがい、俺も楓に対しては甘いな)

と静雄は心の中で呟いた。
楓の兄、椿もこの楓に対しては静雄の目から見ても孫のように可愛がっていた。
幼い頃からその姿を見てきたせいで静雄自身、椿からどんどんいろんなものを吸収して育ってきてしまい、楓には甘くなってしまったのだ。

「シズ、お腹すいた」
「今日椿さんは?」
「遅くなるっぽい」

ちょうどテスト前の時期で多分学校に残りテストを作っているのだろう。誰かに邪魔をされなければの話だが。

「じゃあうちで食えよ」
「ありがと」

ニコッと笑いベッドから飛んで扉を開けた。

「今日のメニューは?」
「唐揚げ」
「わぁ、おばさん有難う!」

すたたた、と廊下を走り抜け一目散に静雄の家に向かっていった。

「…たく、置いていくなよな」



>>>アトノマツリ
静雄くん。

(2010/03/08)


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あきゅろす。
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