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悪い意味で特別扱い(兄/臨也)
「…となるわけだ。じゃあ質問あるヤツ」

黒板に書いたときに腕に積もったチョークの粉を払いのけ(白衣はスーツが汚れないために着ている)、椿は教室を見回した。
すっと綺麗に伸ばされた手をみて椿はくしゃっと顔を歪めた。

「……よし、誰もいないみてぇだな」
「先生、質問です」
「……じゃあ下にある問題を…」
「高瀬先生」
「…あえて無視していんだがね、折原くん。空気読んで」

下がった黒ブチ眼鏡を上げて、荒んだ目で臨也をみればにっこりと微笑んでいた。

「折原の質問はあとでゆっくりと聞いてやるから」
「特別に、ですか」
「お前に対する特別扱いは悪い意味でだ。もっとはっきり言ってやるとだなぁ、」
「嬉しいなぁ、高瀬先生にワンツーマンで教えて貰えるなんて」

人の話を聞いているのかいないのか。椿は頭を抱えた。
折原臨也は別名教師泣かせと職員室内では呼ばれていた。
今から少しだけ前に、教師をいたぶることを趣味にしていた時期があり、その時に何人もの先生が被害を受けた。彼のクラスの授業になると腹痛頭痛を起こしたり、精神的にまいって出勤拒否を起こし、入院中の先生まで出たほどだった。
その中でも臨也が気になったのがこの高瀬椿だった。

「じゃあ下の問題解いて。五分たったら答え合わせすっから」

そう言って教台から降りて窓にもたれ掛かった。
暇そうに前に座る生徒にちょっかいを出している椿に臨也は違和感を感じた。
彼は何かが違った。未だにそれが何かは分からず、反応も別に予想出来ないわけでもなく、例え予想外の反応を返しても、そんなに違和感の覚えるほどのことでもないはずだった。
何故彼だけに何かを感じるのか。

「折原?」

いつの間にか近付いてきていた椿に気が付き、一瞬目を見開いたがすぐに表情を戻した。

「珍しいですね、先生から声をかけるなんて」
「俺の授業でぼけっとしてるお前の方が珍しいくて怖い」
「買いかぶりすぎですよ。俺だって気を抜くときくらいあります」
「そりゃそうか」

コツンと臨也の頭をつついた。

「でもお前まだ俺の授業はちゃんと聞いているだろ?だから気になっただけ」

ししっ、と笑い椿は通りすぎていった。

(勘が鋭い)

臨也は何かがざわめいたことに気付かないふりをした。



>>>アトノマツリ
どうなんですか臨也さん

(2010/03/08)

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あきゅろす。
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