寂しい目をした兎※(兄/臨也)
「んっ…」
陽の落ちた校舎の中。椿の乱れた息が、臨也の耳をくすぐる。
繋がった部分がぐちゃりと音を立てるたびに椿の身体が跳ね、臨也の熱を締め付けた。
「椿さん…」
椿の中に入ったまま動きを止め体重をかけて、椿の温かい体温へと包まれる。
「なに」
どちらも何回か果てていたので、性急な欲はなく椿も臨也へと背中に手を回してやる。
椿の胸で臨也は緩く目を閉じた。
そんなつもりではなかったが、眠気が漂い意識が遠退く。
「ばっ、入れたまま寝るな!」
焦った椿の声が気持ち良く、臨也は猫のように頭を擦り寝やすい体勢へ整える。
「この、やろ!」
「うっ…!」
ぎゅう、と椿の中が締まり、臨也は目を見開き急いで椿から抜く。
食い千切られるかと、思っ、た。
「ふてぇやろーだな。入れたまま寝ようとしやがって」
「ばれちゃった?」
「バレバレだ」
ふかふかと未だ意識がさ迷う中で、椿が起き上がるのを感じた。温もりが消え、どこか寒くなる。
「たく、眠いならさっさと終らせたら良かっただろ」
机の上に置いてあったティッシュで椿はある程度身体を清め、ついでにソファに転がってうとうとしている臨也の身体も清めてやる。
「やだよ。椿さんとずっと繋がっていたかったのに」
「恐ろしいこと抜かすな」
眠くても言葉遊びは続ける臨也に、椿は笑う。
風邪を引かないよう毛布を掛けてやると、臨也は再び目を閉じた。
そして椿は数学準備室のわりと近くにあるシャワー室へ行き、温かい湯の雨に当たりながらどちらのものかもわからなくなった精液を落とす。
「んんっ…」
自分の指を入れ、中のものも掻き出し流していく。そういえば臨也とするときはいつも生な気がする。本当は後始末がめんどくさいし、翌日になると少し調子悪くなるから嫌なんだが、ついつい買うまででもないよな…と思い、ずるずると毎回生、ってことになっている。
「は…、俺も駄目な大人だよな」
生徒に手を出し(正確にいうと手を出され)、曖昧な関係を強いている。
臨也は言葉では、俺のことを好いたような事を言っているが、多分本気ではない。
だから、俺も本気にはならない。
例え、臨也が好きと言おうとも、きっと俺は好きになってはいけない。
「分かってる…」
寂しい目付きをした椿は、シャワーを長い間浴び続けた。
>>>アトノマツリ
Д
(2010/03/22)
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